イスラーム概論 第2章 【よき品格】より

イスラーム概論より、よき道徳と性質の徳、イスラームで推奨される礼儀作法などについて紹介されている記事です。

اسم الكتاب : مختصر الفقه الإسلامي : الباب الثاني : كتاب الأخلاق وكتاب الآداب


تأليف: محمد بن إبراهيم التويجري


ترجمة: أكيفومي نومورا عثمان - سعيد ساتو


نبذة مختصرة: كتاب مترجم إلى اللغة اليابانية، مقتبس من كتاب مختصر الفقه الإسلامي للشيخ محمد بن إبراهيم التويجري - حفظه الله -، ويحتوي على الباب الثاني : كتاب الأخلاق والآداب.

イスラーム概論
第2章 【よき品格】より

] 日本語 - Japanese - ياباني [

 

ムハンマド・イブラーヒーム・アッ=トゥワイジュリー


翻訳 : サイード佐藤
野村明史 オスマーン

校閲 : ファーティマ佐藤
   アブドッラー坂田
ムハンマド サーリフ金子

2016 - 1437
 
 
مختصر الفقه الإسلامي
الباب الثاني: كتاب الأخلاق والآداب
« باللغة اليابانية »

محمد بن إبراهيم التويجري

 


ترجمة: ساتو يوئتشي سعيد
 اكيفومي نومورا عثمان

مراجعة: فاطمة ساتو & عبدالله ساكاتا
محمد صالح كانيكو


2016 - 1437
 


目次

タイトル    ページ
道徳とよき性質    4
預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)のよき道徳と性質    7
預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)のよき性質    20
礼儀作法    27
1、挨拶の礼儀作法    29
2、飲食の礼儀作法    37
3、路上と市場での礼儀作法    48
4、旅行における礼儀作法    53
5、夢の礼儀作法    61
6、許可を請うことの礼儀作法    64
7、くしゃみの礼儀作法    67
8、病人のお見舞いに関する礼儀作法    70
9.衣服の礼儀作法    78

道徳とよき性質
    

● ここでは預言者ムハンマド(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)がいざない、それらを身に付けるよう人々に促した、最も重要な人格や性質、また彼が備えていた道徳律について取り上げます。それらまるが全てのムスリムの良い模範となり、また私たちがそれを身に付け、そして積極的に取り入れていくようにすることを目的とします。

1-至高なるアッラーはこう仰せられました:アッラー(とのえっけん,謁見)と来世を望み、アッラーをよく念唱する者にとって、アッラーの使徒は実に良い模範である。(クルアーン33:21)

2-至高なるアッラーはこう仰せられました:許しの心を持ち、善を命じ、無知な者たちから遠ざかれ。また悪魔からの誘惑があなたを悩ました時は、アッラーの加護を求めなさい。本当にかれは全聴にして全知であられる。(クルアーン7:199,200)

●    最も素晴らしい飾り:

最もイーマーまるン の完全な者は、最も人格の優れた者です。信仰者は優れた人格によって、サラー(礼拝)しサウム(斎戒、いわゆる断食)に勤める者の位階にまで達するのです。そして最も優れた人間は最も人格の優れた者であり、最も優れた信仰者とは最も人格の優れた者なのです。ゆえに優れた人格を身に付けることは、金銀を収集することよりも遥かに優れたことなのであり、それはムスリムによって示される最も素晴らしい飾りなのです。

アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)によれば、アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:「人々はちょうど金銀の鉱脈のようなものである 。そしてジャーヒリーヤ(イスラーム以前の無明時代)において最良であった者は、もし宗教理解を得るならば、イスラームにおいても最良であるのだ。そして魂は(それぞれ)多様に異なった形で集まり合っている。それゆえ互いに似通った者たちは近付き合い、互いに異なった者たちは遠ざかり合うのだ。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

●    よき人格の徳:

1-至高なるアッラーはこう仰せられました:そしてあなた方の主からのお赦し(を呼ぶ諸々の服従行為)へと急ぐのだ。その広さは諸天と大地の広さほどもあり、ムッタクーン(アッラーのお怒りと懲罰を招くような事柄から身を慎む者たち)のために用意されたものなのである。順境においてもまた逆境にあっても、(主の贈物を)施す者、怒りを押さえて、人々を許す者、本当にアッラーは、善い行いをなす者を愛でられる。また不道徳な行いをしたり、自分自身に不正を犯した時、アッラーを念じてその罪の御赦しを請い、「アッラーの外に、誰が罪を赦すことが出来ましょう。」(と祈る者)、またその犯したことを、故意に繰り返さない者。これらの者への報奨は、主からの寛大な御赦しと、川が下を流れる楽園であり、かれらはその中に永遠に住むであろう。行為を精進する者への恩恵は何とよいことであろう。(クルアーン3:133-136)

2-至高なるアッラーはこう仰せられました:慈悲深き御方のしもべたちは、謙虚に地上を歩く者、また無知の徒(多神教徒)が話しかけても、「平安あれ。」と(挨拶して)言う者である。また主の御前にきれい,跪礼し、夜を過す者たちである。また、「主よ、地獄の懲罰をわたしたちから遠ざけて下さい。本当にあの懲罰は、永続する罰です。本当にそれは悪い住まいであり、悪い休み所です。」と言う者である。また(財貨を)使う際に浪費しない者、またりんしょく,吝嗇でもなく、よくその中間を保つ者。アッラーとならべて、外のどんな神にも祈らない者、正当な理由がない限り、アッラーが禁じられた殺生を犯すことなく、また姦婬しない者である。だがおよそそんなことをする者は、懲罰される。復活の日には懲罰は(罪に応じ)倍加され、その(地獄で)屈辱の中に永遠に住むであろう。悔悟して信仰し、善行に励む者は別である。アッラーはこれらの者の、いろいろな非行を変えて善行にされる。アッラーは寛容にして慈悲深くあられる。(クルアーン25:63-70)

3-アブドッラー・ブン・アムル(彼らにアッラーのご満悦あれ)は言いました:「預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:“あなた方の内で最良の者は、もっとも人格の優れた者である。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

4-アブー・アッ=ダルダーゥ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:“よき人格よりも(審判の日)の(善行の)秤に重いものはない。”」(アブー・ダーウードとアッ=ティルミズィーの伝承 )

5-アムル・ブン・シュアイブがその父親から、そしてその父親が祖父から、そしてその祖父がアッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)から伝えるところによれば、彼は言いました:「“最も私の寵愛を享受し、かつ審判の日に私から最も近い場所に座を占める者を教えてやろうか?”すると人々は黙り込みました。それで(アッラーの使徒が)それを2回、あるいは3回繰り返すと、人々は言いました:“是非とも、アッラーの使徒よ。”すると彼は言いました:“(それは)最も人格の優れた者である。”」(アル=ブハーリーとアフマドの伝承 )

●    最も人格と性質の優れた者:

よき人格と性質を身に付ける、最も容易かつ最善の方法は預言者ムハンマド(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)の手法を模範とすることです。彼の人格はクルアーンそのものであり、彼は人々の内で最も優れた内面的及び外面的性質を備えた方でした。彼は持たざる者には与え、彼を虐げる者を許し、親戚関係を絶つ者に対しては良い縁を取り持ち、悪に対しては善行でもって返しました。このような事柄が人格の基礎なのであり、私たちがあらゆる状況において彼の手法を踏襲すべきゆえんなのです。ただアッラーが預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)に特別に定められたことは別であり、よく知られているように預言者性や啓示、5人以上の女性との婚姻、彼が結婚した女性は彼以後には他の男性と結婚できないこと、サダカ(施し物)に手を付けないこと、遺産を残さないこと、などにおいては彼以外の者がそれを真似することは出来ません。

 

預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)の
よき道徳と性質

●    預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)の美徳とよき人格:

1-至高なるアッラーはこう仰せられました:そしてあなたはこの上ない人格を備えている。(クルアーン68:4)

2-アブドッラー・ブン・アムル(彼らにアッラーのご満悦あれ)は言いました:「預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は下品なことを口にすることもなければ、卑俗な性質でもありませんでした。そしてこう言っていたものです:“あなた方の内で最良の者は、もっとも人格の優れた者である。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

3-アナス(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「私は10年間預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)に仕えましたが、彼は私に対して文句を言うこともなければ、“どうしてそんなことをした?”とか“どうしてこうしなかった?”とか責めることはありませんでした。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

●    預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)の心の広さ:

1-ジャービル(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「預言者は、何かを請われてそれを断ることはありませんでした。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

2-イブン・アッバース(彼らにアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は最良のお方でしたが、ラマダーン月にジブリール(ガブリエル)と出会われる時には一層良きお方となりました。彼はラマダーン月には毎晩彼と会い、クルアーンを学んだのです。アッラーの使徒はその善において、恵み深い風よりも良きお方でした。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

3-アナス(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は、イスラームゆえに何かを請われて、それを与えないことはありませんでした。ある男が彼のもとを訪れた時、彼は男に山2つの間の羊の群れ全てを贈与しました。男は自分の民のもとに帰ると、こう言いました:“民よ、イスラームを受け入れるのだ。ムハンマドは(この先私たちが)貧困の恐れ(に遭遇すること)もない位の贈り物をしてくれたのだから。”」(ムスリムの伝承 )

●    預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)の羞恥心:

1-アブー・サイード・アル=フドゥリー(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は寝室の乙女よりも羞恥心の強いお方でした。そして彼が何かを嫌っている時には、私たちはその表情からそのことを察することが出来たものです。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

●    預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)の慎み深さ:

1-ウマル・ブン・アル=ハッターブ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「私は預言者(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)がこう言うのを聞きました:“キリスト教徒がマルヤムの子(イーサーのこと)の讃美において度を越したように、私のことを度を越して称えてはならない。私はかれ(アッラー)のしもべの1人に過ぎないのだ。それゆえ(私のことを)こう言うがよい:アッラーのしもべ、アッラーの使徒、と。”」(アル=ブハーリーの伝承 )

2-アナス(彼にアッラーのご満悦あれ)によれば、少々知性の衰えた女性がこう言いました:「“アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)よ、あなたに頼みごとがあります。”(アッラーの使徒は)言いました:“なにがし,何某の母よ。ちょっとそちらに行きましょう。あなたの頼み事を叶えてやりますから。”それから彼は彼女と道を少し進んで2人きりになると、彼女の頼み事に応えました。」(ムスリムの伝承 )

3-アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)によれば、預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:「もし(羊の)腕か、あるいは足(の部分のみの質素な食事)に招待されたとしても、私は応じよう。またもし(羊の)腕か、あるいは足(の部分のみ)を贈られたとしても、私はそれを快く受け入れたであろう。」(アル=ブハーリーの伝承 )

● 預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)の勇敢さ:

1-アナス(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は最善かつ最良のお方でしたが、また最も勇敢なお方でもありました。ある晩マディーナの民が(何らかの大きな音を聞いて)恐怖に陥ったことがありましたが、その時人々はその音の方へ(偵察に)向かいました。すると彼らは、その方向からやって来るアッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)と出会いました。彼は人々よりいち早く音の方へ向かったのであり、アブー・タルハの馬に乗って剣を首からぶら下げていました。そしてこう言っていました:“恐れるのではない。恐れるのではない”そして私たちはその馬がしゅんめ,駿馬であることを知りました。あるいは確かにしゅんめ,駿馬であると知ったのです。そしてその馬は、(その時私たちが見た時より)以前は足の遅い馬でした。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

2-アリー(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「私はバドル(の戦役)の日、(戦いに)参加しましたが、私たちはアッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)を頼みの綱として(戦って)いました。彼は敵に一番近い所に留まり、その日最も力強い者でした。」(アフマドの伝承 )

●    預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)の哀れみ深さ:

1-アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)によれば、(ある時)1人のベドウィンの男がモスクの中で小便をしました。人々は彼に襲い掛からんとして一斉に立ち上がりましたが、そこでアッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:「彼を放っておけ。そして小便(で汚れた場所)にバケツ1杯分の水をかけるのだ。あなた方は物事を簡易にするように遣わされたのであり、困難にするために遣わされたわけではないのだから。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

2-アナス・ブン・マーリク(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「預言者(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は言いました:“(物事を)たやす,容易くし、困難にするのではない。そして(人々を)安らがせ、遠ざからせるのではない。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

3-アーイシャ(彼女にアッラーのご満悦あれ)によれば、アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:「アーイシャよ、アッラーはお優しいお方であり、ゆえに優しさを愛でられる。そして優しさに対して、荒々しさやその他の何ものに対しても与えられないものを与えられるのだ。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

●    預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)の許しの心:

1-至高なるアッラーはこう仰せられました:しかし彼ら(ユダヤ教徒)はこの誓約を破ったので、われ(アッラーのこと)は彼らを呪い、彼らの心を頑なにした。彼らは(啓典の中の)文字を移し変え、与えられた訓戒の一部を忘れてしまった。それでかれらの中の少数の者以外は、いつも契約を破棄し、裏切りに出続けるであろう。ゆえに彼らを許し、大目に見てやるのだ。実にアッラーは善行の民を愛でられる。(クルアーン5:13)

2-アーイシャ(彼女にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は2つの選択肢がある時、それが罪とならない限り、常に容易な方を選んだものです。そして罪となることからは、最も縁遠いお方でした。またアッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は自らに関することにおいて報復することはありませんでしたが、アッラーの神聖さが侵された時だけはアッラーゆえに報復の処置をとったものでした。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

●    預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)の慈悲の心:

1-至高なるアッラーはこう仰せられました:アッラーの御慈悲のおかげであなたは彼らに対し優しくできた。あなたがもしも粗野で心が冷酷ならば、彼らはあなたの周囲から離れ去ったであろう。だから彼ら(の過失)を許し、彼らのために(アッラーの)御赦しを請いなさい。そして諸事にわたり、彼らと相談しなさい。いったん決ったならば、アッラーに一任しなさい。本当にアッラーは信頼する者を愛し給う。(クルアーン3:159)

2-アブー・カターダ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)はその肩にウマーマ・ビント・アビー・アル=アースを抱いて現れると、礼拝しました。そして彼がルクーゥ(礼拝におけるお辞儀のような形の礼)する時は彼女を足元に置き、そこから起立する時には彼女を抱え上げました。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

3-アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)はアル=アクラァ・ブン・ハービス・アッ=タミーミーの座っている前で、(彼の孫)アル=ハサン・ブン・アリーにキスをしました。するとアル=アクラァは言いました:“私には10人の子供がいるが、その誰にもキスしたことなどない。”するとアッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は彼に目をやり、こう言いました:“慈悲のない者は、慈悲をかけられることもない。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

4-アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:“人々を礼拝で先導する時には、長引かないようにするのだ。というのも礼拝者の中には弱者や病人、年配者などがいるからである。しかし1人で礼拝する時には、好きなだけ長引かせるがよい。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

5-マアルール・ブン・スワイドは言いました:「私たちがラバザ にいるアブー・ザッルのところへ行きました。彼は上衣を着用しており、彼の奴隷も彼と同じようなものを身に着けていました。そこで、私たちは言いました:“もし、(あなたと奴隷の)2つの上衣を合わせたら、正装になりますね。”そして、(アブー・ザッルは)言いました:“かつて、私と信仰上の兄弟(ここでは奴隷のこと)との間で言い争いがありました。そこで、彼の母親はアラブ人ではなかったので、私は彼の母親のことで彼を罵りました。そして彼は預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)の下へ私のことを訴えに行きました。そして預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は私のところを訪れ、言いました:『アブー・ザッルよ。お前は本当にジャーヒリーヤ(イスラームが伝わる以前の無名時代)の遺物を残した男だな。』私は言いました:『アッラーの使徒よ、人が他の者を中傷すれば、その者は彼の父親か母親を中傷し返すものでしょう。』 すると、(預言者は)言いました:『アブー・ザッルよ。お前は本当にジャーヒリーヤ(イスラームが伝わる以前の無名時代)の遺物を残した男だな。彼らはアッラーがあなた方の手に委ねられたあなた方の兄弟である。それゆえあなた方が食べるものを彼らにも与え、あなた方が着るものを彼らにも着せるのだ。そして彼らに、彼らが耐え切れないような負荷を課してはならない。もしそうするのであれば、手を貸してやるのだ。』”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

6-また預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は、その敵にさえも慈悲の心を示しました。アナス(彼にアッラーのご満悦あれ)は言っています:「ユダヤ教徒の小間使いの少年が1人、預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)に仕えていましたが、(ある時)彼は病に冒されました。預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は彼を見舞い、彼の頭の近くに腰を下すと、こう言いました:“イスラームを受け入れよ。”すると少年は、そこに居合わせていた父親の方を伺いました。(父親は)彼に言いました:“アブー・アル=カースィム(預言者のこと)(の言うこと)に従え。”そして(少年は)イスラームを受け入れました。預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)はそこを後にすると、こう言いました:“彼を地獄から救われたアッラーにこそ、全ての賞賛はあり。”」(アル=ブハーリーの伝承 )

●    預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)の笑い:

1-アーイシャ(彼女にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「私は、預言者(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)が口を大きく開けて、笑い崩れるのを見たことがありません。彼は微笑むだけでした。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

2-ジャリール(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「私がイスラームを受け入れてからというもの、預言者(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は私を遠ざけたりすることがありませんでした。また私を見る時は、いつもその顔に微笑を浮かべていたものです。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

●    預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)のおえつ,嗚咽:

1-アブドッラー・ブン・マスウード(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「預言者(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は私にこう言いました:“(クルアーンを)読んでくれ。”私は言いました:“アッラーの使徒よ、あなたに啓示されたものをあなたの前で読むというのですか?”(預言者は)言いました:“ああ。読むのだ。”それで私は婦人章を読みましたが、それで(審判の日)われ(アッラーのこと)が全ての民に(アッラーの御言葉を彼らに伝えた)証人を連れて来たら、そしてあなたを彼ら(不信仰者たち)への証人として連れて来たら、(彼らは一体)どうするつもりだというのか?(クルアーン4:41)という句に差し掛かった時、(預言者は)“そこまででよい。”と言いました。顔を上げて見てみれば、彼の両目からは涙が溢れ出ていました。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

2-アブドッラー・ブン・アッ=シッヒール(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「私はアッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)が礼拝している時、彼がその胸の辺りから、ひきうすを回したときに出るような(低くごもった)おえつ,嗚咽を漏らしているのを見ました。」(アブー・ダーウードとアン=ナサーイーの伝承 )

●    アッラーに関することにおける預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)の怒り:

1-アーイシャ(彼女にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「預言者(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)が私の部屋に入って来た時、そこには肖像画が描かれた薄手のカーテンがありました。(それを見ると)彼の表情は一変し、カーテンを掴むと、それを引きちぎりました。そして預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:“これらの物を創作する者たちは、審判の日最も厳しい罰を受ける者たちの仲間となるであろう。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

2-アブー・マスウード(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「ある男が預言者(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)のもとにやって来て、こう言いました:“誰々が礼拝(を率いる際にそれ)をとても長引かせるので、私は早朝の(集団)礼拝に参加するのがおっくう,億劫です。”」そして私はその日ほど、預言者が訓戒において激しい怒りを表したのを見た事がありませんでした。彼は言いました:“人々(礼拝を率いる者たち)よ、あなた方は(礼拝者たち)に嫌な思いをさせている。人々を礼拝で率いるのなら、軽く済ませるのだ。彼らの中には病人や弱者や用事のある者たちもいるのだから。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

●    預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)の彼のウンマ(共同体)に対する哀れみの心:

1-至高なるアッラーはこう仰せられました:あなた方のもとに、あなた方自身の内から1人の使徒(ムハンマド)が到来したのである。(彼は)あなた方の(現世と来世における)苦しみを身にし,沁みて辛く思い、あなた方(が懲罰を受けず信仰にはいること)に懸命で、信仰者たちに哀れみ深く、慈悲深いのである。(クルアーン9:128)

2-ジャービル(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は言いました:“私とあなた方(の関係)を例えて言うならば、ある者が火を焚いた所にバッタや蛾が飛び込んで来たのを追い払うようなものである。そして私こそあなた方のズボンを掴んで、あなた方を地獄(の原因となる諸要因)から遠ざける者なのである。それにもかかわらず、あなた方は私の手を離れて果敢にそこへと飛び込んで行こうとするのだ。”」(ムスリムの伝承 )

●    預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)の人々に対する愉快さ:

アナス・ブン・マーリク(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は私たちを訪れ、私の幼い弟にこう冗談を言いました:“アブー・ウマイルよ、アン=ヌガイル はどうしたのだ?”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

●    預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)の禁欲さ:

1-アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は言いました:“アッラーよ、ムハンマドの家族に(最低限の生活に足りるだけの)糧をお恵み下さい。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

2-アーイシャ(彼女にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「ムハンマドの家族はマディーナ移住後から彼の死まで、3晩連続でパンを満足に食べたことはありませんでした。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

3-ウルワがアーイシャ(彼女にアッラーのご満悦あれ)から伝えるところによれば、彼女はこう言ったものでした:「“アッラーにかけて、私の甥よ。私たちは三日月を見、その後また三日月を見、更にまた三日月を見ました―—つまり2ヶ月間で3度三日月を見たのです―—が、(その間)アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)の家ではかまどに1度たりとも火がとも,灯らないという時がありました。”私(つまりウルワ)は言いました:“叔母さん、一体何を生きるための糧としていたのですか?”(アーイシャは)言いました:“2つの黒いもの―—つまりナツメヤシの実と、水です。そしてアッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)にはアンサール の隣人たちがおり、彼らには家畜がありました。それで彼らがアッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)にその乳を贈り、私たちはそれを飲んでいたのです。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

4-アムル・ブン・アル=ハーリス(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は(彼が他界した時)、1ディーナール、あるいは1ディルハム、また1人の男女の奴隷も残しませんでした。ただ、彼が生前乗っていた1頭の白いラバと1本の剣、そして旅人へのサダカ(施し)とした土地のみを残しただけだったのです。」(アル=ブハーリーの伝承 )

●    預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)の公正さ:

アーイシャ(彼女にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「(ある時)マフズーミー部族のある女性が盗みを犯した事が、クライシュ族を悩ませていました(中略):それでウサーマ・ブン・ザイドがアッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)に(その女性の刑罰を免除してもらおうとして)話すと、彼は言いました:“アッラーの刑罰においてとりなそうというのか?”そして立ち上がり、説教してからこう言いました:“あなた方以前の者たちは、高貴な者が盗みを犯せば放免し、弱者が盗みを犯せば刑を執行する、などということをしていたために滅亡したのだ。アッラーに誓って、もしムハンマドの娘ファーティマが盗みを犯すようなことがあれば、私は彼女の手を切るぞ。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

●    預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)の寛大さ:

1-アーイシャ(彼女にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「“アッラーの使徒よ、あなたにとってウフドの戦役よりも過酷な時はありましたか?”アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は言いました:“私はあなたの民(クライシュ族)より(過酷な迫害を)被った。そしてその中でも最も過酷なものがアカバの日のそれだった。私はイブン・アブド・ヤーリール・ブン・アブド・クラールにイスラームを提示したが、彼は私の望みに応じなかった。それで私は落胆して去り、カルン・アッ=サアーリブ に到着するまで放心状態にあった。そしてそこで顔を上げた時、私は雲の陰に覆われていた。見れば、その雲の中にはジブリール(ガブリエル)がいた。
(ジブリールは私を呼んで)言った:「偉大かつ荘厳なるアッラーはあなたの民の言葉と、あなたに対する彼らの返答をお聞きになられた。それでかれはあなたが(今)彼らに対して望むことを命じさせるべく、山の天使をあなたに遣わされたのだ。」すると山の天使は私を呼び、私に挨拶すると、こう言った:「ムハンマドよ。アッラーはあなたに対するあなたの民の言葉をお聞きになられた。そして私が山の天使である。あなたの主は、あなたのために私を遣わされたのだ。一体あなたは私に何をお望みか?お望みならアル=アフシャバーン でもって、彼らを一潰しにしてやるぞ。」
それで私は言った:「いや。私はアッラーが彼らの子孫の中から、かれのみを崇拝して何ものをもかれに並べることのない者たちが生まれ出ることを望むのだ。」”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

●    預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)の忍耐強さ:

1-至高なるアッラーはこう仰せられました:朝な夕な、主の慈顔を求めてかれに祈る者と共に、忍耐自制しなさい。また現世の栄華を望んで、あなたの目が彼らからそらせてはならない。またわれが、その心にわれを念じることから逸らせたために私欲に従い、法を越えた者に付き従ってはならない。(クルアーン18:28)

2-アブドッラー・ブン・マスウード(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「私がアッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)のもとを訪れた時、彼は具合を悪くされていました。それで私は彼を両手でさすり、こう言いました:“ひどく具合を悪くされていますね。”するとアッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:“ああ。私はあなた方2人分の辛さを味わうのだ。”私は言いました:“(ゆえに)あなたには倍の報奨があるのですね。”するとアッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:“ああ、そうなのだ。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

3-ハッバーブ・ブン・アル=アラットゥ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「私たちがアッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)に直訴しに赴いた時、彼はカアバ神殿の陰で上衣を枕代わりにして寝ていました。私たちは言いました:“私たちを助けてくれませんか?私たちのために祈ってくれませんか?”すると(アッラーの使徒は)言いました:“あなた方以前の(正しい信仰)者たちは、地面に掘った穴の中に埋められ、のこぎり,鋸で頭を真っ二つに切られ、更に鉄の串で肉を骨から剥ぎ取られても宗教を捨てなかったのだ。アッラーにかけて。この件(イスラームへの迫害)は旅人がサヌアーゥからハドゥラマウト まで、アッラーと羊を襲う狼以外には何も恐れることなく移動出来るようになるまでに、(最終的には)一件落着するであろう。あなた方は事を急ぎ過ぎているのである。”」(アル=ブハーリーの伝承 )

●    預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)の助言:

「彼(アッラーからの祝福と平安あれ)はこう言ったものでした:“もしあなた方が私の知ることを知ったのなら、余り笑わず、よく泣いたことであろう。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

「彼(アッラーからの祝福と平安あれ)はこう言ったものでした:“享楽の破壊者(死のこと)を多く想念せよ。”」(アッ=ティルミズィーとアン=ナサーイーの伝承 )

「彼(アッラーからの祝福と平安あれ)はこう言ったものでした:“ムスリムは、会えば背き合うようにして、その同胞を3夜以上避け続けることは許されない。そして彼らの内、先に挨拶を始める方がより優れているのだ。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

「彼(アッラーからの祝福と平安あれ)はこう言ったものでした:“邪推をしてはならない。邪推とは最も嘘の際立った話であるから。そして互いに嗅ぎ回ったり、詮索し合ったり、汚名を着せ合ったり、妬み合ったり、憎しみ合ったり、背を向け合ったりしてはならない。アッラーのしもべという同胞となるのだ。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

「彼(アッラーからの祝福と平安あれ)はこう言ったものでした:“人を呪う者たちは審判の日、とりなしをする者にもなれなければ、証人にもならないであろう。”」(ムスリムの伝承 )

「彼(アッラーからの祝福と平安あれ)はこう言ったものでした:“人々の中でも最悪の者は、ある者たちの前では他の者たちの前のそれとは別の顔を見せる、2つの顔を持つ者である。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

「彼(アッラーからの祝福と平安あれ)はこう言ったものでした:“ムスリム同士は兄弟である。(彼らは互いに)不正を働くこともなければ、見捨てることもない。そして同胞の必要事に携わる者は、アッラーがその者の必要事に携わられるであろう。そしてムスリムの苦悩を1つ解消してやる者には、アッラーが審判の日、彼のために苦悩の1つを解消して下さるだろう。またムスリム(の罪)を覆い隠してやる者には、アッラーが審判の日、彼をかくまって下さるであろう。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

「彼(アッラーからの祝福と平安あれ)はこう言ったものでした:“不正から身を遠ざけよ。実に不正とは審判の日の闇となるのであるから。そしてりんしょく,吝嗇から身を遠ざけよ。実にりんしょく,吝嗇はあなた方以前の者たちを殺人へといざない、また禁じられた物事を合法化させることで、彼らを滅ぼしたのであるから。”」(ムスリムの伝承 )

「彼(アッラーからの祝福と平安あれ)はこう言ったものでした:“(人を)過度に褒め称え(それで見返りを求め)る者たちを見たら、その顔に砂を投げつけるがよい。”」(ムスリムの伝承 )

「彼(アッラーからの祝福と平安あれ)はこう言ったものでした:“自画自賛するのではない。アッラーこそはあなた方よりもよく、善人をご存知であられる。”」(ムスリムの伝承 )

「彼(アッラーからの祝福と平安あれ)はこう言ったものでした:“降りかかった災厄ゆえに、死を望んではならない。もしどうしても死を望まなければならないのなら、こう言うのだ:「アッラーよ、私にとって生がよいのであるのなら、私を生かして下さい。そして私にとって死がよいのなら、私を死なせて下さい。」”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

「彼(アッラーからの祝福と平安あれ)はこう言ったものでした:“同胞を益することが出来る者は、そうしなさい。”」(ムスリムの伝承 )

「彼(アッラーからの祝福と平安あれ)はこう言ったものでした:“アッラーと最後の日を信仰する者は、よきことを話すか、さもなくば黙っているがよい。そしてアッラーと最後の日を信仰する者は、隣人を害してはならない。またアッラーと最後の日を信仰する者は、客を歓待するのだ。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)のよき性質

●    「アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は最も顔立ちが立派で、かつ最も容姿の優れたお方でした。彼の上背はとても高くはありませんでしたが、低くもありませんでした。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

●    「アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)が身を横たえるベッドは、木の繊維が詰められたなめし革製のものでした。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

●    「彼(アッラーからの祝福と平安あれ)は何か患った時には、アル=ムアッウィザート を読んで(両手に)息を吹き込み、そしてその手で自らの体を撫でたものでした。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

●    預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は寝室の乙女よりも羞恥心の強いお方でした。そして彼が何かを嫌っている時には、私たちはその表情からそのことを察することが出来たものです。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

●    「彼(アッラーからの祝福と平安あれ)が嬉しい時には、その顔はまるで月の一片のように輝いたものでした。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

●    「彼(アッラーからの祝福と平安あれ)は妻たちが月経の状態にある時、彼女たちの衣服の上から接触したものでした。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

●    「彼(アッラーからの祝福と平安あれ)は靴を履いたり、髪を櫛でと,梳かしたり、体を洗浄することやその他全てのことにおいて、右側から始めることを好みました。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

●    「彼(アッラーからの祝福と平安あれ)はサウム(斎戒、いわゆる断食)の状態にある時、(妻たちと)キスしたり接触をもったりしました 。そして彼はあなた方の内で、最も自制心の強いお方でした。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

●    「預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は(旅路から帰って来たら)、夜遅く不意に家族のもとを訪れたりはしませんでした。彼は朝か夕に(彼らのもとに)帰ったものです。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

●    「アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は、蜂蜜やお菓子が好きでした。そしてアスル(午後遅く)の礼拝が終わった後は妻たちのもとに赴き、妻の1人と2人きりになったものです。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

●    「彼(アッラーからの祝福と平安あれ)は決まって昼間の早い内に、旅行から帰って来たものでした。そして帰ってきて初めに行くのはモスクであり、そこで2ラクアのサラー(礼拝)をし、それからそこに座りました。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

●    「預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は中背で肩幅が広く、耳たぶにまで達する(長い)髪でした。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

●    「アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)の髪は真っ直ぐでも巻き毛でもなくその中間であり、(その)長さは耳と肩の中間辺りにまで達していました。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

●    「彼(アッラーからの祝福と平安あれ)は夜の前半を寝て過ごし、その後半を起きて過ごしたものです。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

●    「彼(アッラーからの祝福と平安あれ)は礼拝の時刻になるとその場で礼拝することを好まれました。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

●    「彼(アッラーからの祝福と平安あれ)は病気になられますと、御自身でアル=ムアッウィザート を御自分に対して読誦され、そして息を吹きかけておられました。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

●    「彼(アッラーからの祝福と平安あれ)はもし話をされる時、相手に理解されるまで3回繰り返されました。そして彼が入室の許可を求めるときは、挨拶と共に(ドアを)3回叩いていました。」(アル=ブハーリーの伝承 )

●    「彼(アッラーからの祝福と平安あれ)はこっかん,酷寒の時にはサラー(礼拝)を(定刻の)最初の時間帯に済ませ、酷暑の時には(定刻の範囲内で)暑さのほとぼりが冷めるまで遅らせました。」(アル=ブハーリーの伝承 )

●    カアブ・ブン・マーリク(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は旅行に出発する時は殆どいつでも、木曜日に出発しました。」(アル=ブハーリーの伝承 )

●    「彼(アッラーからの祝福と平安あれ)は(旅行中の)乗り物用の家畜の上にある時は、(キブラを向くことなく)進行上の方角に向かったまま(任意の)サラー(礼拝)をしたものでした。そして義務のサラー(礼拝)をする時には(そこから)降り、キブラの方向に向かいました。」(アル=ブハーリーの伝承 )

●    「彼(アッラーからの祝福と平安あれ)は慈悲深く、親切で優しいお方でした。」(アル=ブハーリーの伝承 )

●    「彼(アッラーからの祝福と平安あれ)はすべての礼拝の時、ウドゥー をされました。」(アル=ブハーリーの伝承 )

●    「彼(アッラーからの祝福と平安あれ)は説教するとその眼が赤くなり、声は大きくなり、いきり立ったものでした。そして“朝に夕に、あなた方のもとに敵が来襲するのだぞ。”と言う、軍の警告者のようになったものです。」(ムスリムの伝承 )

●    「彼(アッラーからの祝福と平安あれ)が家に入ってまず最初にすることは、スィワーク でした。」(ムスリムの伝承 )

●    「彼(アッラーからの祝福と平安あれ)はよく天を仰いだものです。」(ムスリムの伝承 )

●    「彼(アッラーからの祝福と平安あれ)は(クルアーンを)ゆっくりと読み、その中でタスビーフ (を促す箇所)があればそうし、願い事(をすべき箇所)があればそうし、アッラーのご加護(を乞うべき箇所)があればそうしたものでした。」(ムスリムの伝承 )

●    「彼(アッラーからの祝福と平安あれ)は家族の誰かが病に冒されると、アル=ムアッウィザート を読んで(両手に)息を吹きかけ(それで病人を撫で)たものでした。」(ムスリムの伝承 )

●    「彼(アッラーからの祝福と平安あれ)はあらゆる状況において、至高なるアッラーを想念していました。」(ムスリムの伝承 )

●    「彼(アッラーからの祝福と平安あれ)は優しい人でした。」(ムスリムの伝承 )

●    「彼(アッラーからの祝福と平安あれ)はサラー(礼拝)を簡潔に、かつ完全に遂行していました。」(ムスリムの伝承 )

●    「彼(アッラーからの祝福と平安あれ)は太陽が昇るまで、ファジュル(夜明け前の礼拝)をした場所に留まっていたものでした。そして太陽が昇ってから、そこを立ったのです。」(ムスリムの伝承 )

●    「彼(アッラーからの祝福と平安あれ)は慈悲深く、慎み深い人でした。」(ムスリムの伝承 )

●    「彼(アッラーからの祝福と平安あれ)は(旅路において)後方に退き、弱って(遅れをとって)いるラクダの歩を早めさせ、(後方にいる者たちに)同乗し、彼らのために祈願してやったものでした。」(アブー・ダーウードの伝承 )

●    「彼(アッラーからの祝福と平安あれ)はコフル を付ける時には奇数回付け、イスティジュマール をする時にも奇数回行ったものでした。」(アフマドの伝承 )

●    「彼(アッラーからの祝福と平安あれ)は芳しい香りを好みました。」(アブー・ダーウードとアフマドの伝承 )
●    「アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は祈願をする際には、まず自分のことから始めました。」(アフマドとアブー・ダーウードの伝承 )

●    「アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)の最もお気に入りの服は、長衣でした。」(アブー・ダーウードとアッ=ティルミズィーの伝承 )

●    「彼(アッラーからの祝福と平安あれ)は用便の際には、(人々から)遠く離れました 。」(アフマドとアン=ナサーイーの伝承 )

●    「彼(アッラーからの祝福と平安あれ)は皮製の靴を履き、香草とサフランであごひげを黄色く染めていました。」(アブー・ダーウードとアン=ナサーイーの伝承 )

●    「アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は右手に、印章代わりの銀の指輪をしていました。」(アン=ナサーイーの伝承 )

●    「アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)はグスル した後に、ウドゥー はしませんでした。」(アッ=ティルミズィーとアン=ナサーイーの伝承 )

●    「アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は1ムッド でウドゥーし、1サーア でグスルしたものでした。」(アブー・ダーウードとアン=ナサーイーの伝承 )

●    「彼(アッラーからの祝福と平安あれ)と彼の家族は夕食にありつけず、何夜も連続して空腹のまま夜を過ごしたものでした。そして彼らのパンといえば、大方は大麦のそれだったのです。」(アフマドとアッ=ティルミズィーの伝承 )

●    「彼(アッラーからの祝福と平安あれ)は、くしゃみをされた時、顔を手または服で覆ったものです。そしてそうすることによってその音を下げました。」(アブー・ダーウードとアッ=ティルミズィーの伝承 )

●    「アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)はズィクル(祈念)を増やされ、つまらない話を少なくされました。そして礼拝を長くし、説教を短くされました。また、未亡人や弱者と共に歩くことを拒絶せず、彼らのために必要なものを叶えていました。」(アン=ナサーイーの伝承 )

●    「アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)はなにか怖れを感じると、こう言いました:彼こそはアッラー。我が主、わたしはかれに何ものも同等に並べません。」(アン=ナサーイーの伝承 )

●    「彼(アッラーからの祝福と平安あれ)は何かをせがまれればそれを与えずにはいませんでしたが、そう出来ない時には沈黙しました。」(アル=ハーキムの伝承 )

●    「彼(アッラーからの祝福と平安あれ)は歩かれる時は、元気よく歩かれ、それはだらしないものではありませんでした。」(アフマドの伝承 )

●    「彼(アッラーからの祝福と平安あれ)は慈悲深い方でした。彼のもとには約束なしで来る者はいませんでした。それは、彼は自分の手元にあれば、それを与えていたからです。(つまり、相手からせがまれ、その時、自分の手元にない場合には、相手をはねつけることなく、いつ来るようにと与える約束をしていたからです。)」(アル=ブハーリーの伝承 )

●    「アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)の言葉は、それを聞いたいかなる者も理解することが出来るような、(明瞭に)区切られたものでした。」(アブー・ダーウードの伝承 )

●    「彼(アッラーからの祝福と平安あれ)はスィワーク を手元におかずには寝ませんでした。そして起床の際には、スィワークで歯を磨いたものでした。」(アフマドの伝承 )

礼儀作法

● 礼儀作法とは:称えられるべき言葉遣いや行い、品行などの実践のことです。

● イスラームにおける礼儀作法:

アッラーは私たちにイスラームという恩恵を与えられました。イスラームは、人間の生活をあらゆる状態において秩序づける、1つの完全な教えです。そして主への良いイバーダ、良識をもった良い礼儀、他人との良い交流を命じ、公平、慈善、尊い道徳へ呼びかけています。

外見と内面を磨き、言葉と行動に注意し、目と耳を慎み、慈善と思いやりで心を満たし、そして現世でも来世でも人間にとって有益なことを命じ、有害なものを禁じています。また自らに対しても他人に対しても様々な礼儀作法を定めていますが、その範囲は飲食、睡眠、起床、通常の定住生活や旅行時、健康な時や病気の時など、あらゆる状況に渡っています。

1-至高なるアッラーはこう仰せられました:今日われはあなたがたのために、あなたがたの宗教を完成させ、またあなたがたに対するわれの恩恵を全うし、あなたがたのために宗教として、イスラームを選んだのである。しかし罪を犯す意図なく、飢えから余儀なくされた者には、本当にアッラーは寛容にして慈悲深くあられる。(クルアーン5:3)

2-至高なるアッラーはこう仰せられました:善行と篤信のために助けあって、信仰を深めなさい。罪と恨みのために助けあってはならない。アッラーを畏れなさい。誠にアッラーは懲罰において厳しい御方であられる。(クルアーン5:2)

3-至高なるアッラーはこう仰せられました:本当にアッラーの使徒は、アッラーと終末の日を期待する者、アッラーを多く唱念する者にとって、立派な模範であった。(クルアーン33:21)

4-至高なるアッラーはこう仰せられました:使徒があなたがたに与える物はこれを受けとり、あなたがたに禁じる物は、避けなさい。アッラーを畏れなさい。本当にアッラーは懲罰において厳しい御方であられる。(クルアーン59:7)

5-至高なるアッラーはこう仰せられました:本当にアッラーは公正と慈善、そして近親に対する贈与を命じ、またすべての醜い行いと邪悪、そして侵害を禁じられる。かれはあなたがたに訓戒している、きっとあなたがたは心に留めるであろう。(クルアーン16:90)

クルアーンと正しいスンナ(預言者の言行)に示されるこれらの礼儀作法は、以下に挙げる通りです。

 

 


1-挨拶の礼儀作法

● 挨拶の徳:

1-アブドッラー・ブン・アムル(彼らにアッラーのご満悦あれ)によれば、ある男が預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)にこう尋ねました:「“イスラームの特質の中で、どのような点が最も優れていますか?”(預言者は)言いました:“(他人に)食事を与え、知っている者にも知らない者にも挨拶をすることである。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )
2-アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)によれば、アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)はこう言いました:「私の魂がその御手に委ねられている御方にかけて。あなた方は信仰するまで天国に入ることはない。そして互いに愛し合うようになるまでは、本当に信仰したことにはならない。あなた方がそれを行えば、互いに愛し合うようになることを教えてやろうか?あなた方の間に挨拶を広めるのだ。」(ムスリムの伝承 )

3-アブドッラー・ブン・サラーム(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「私はアッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)がこう言うのを聞きました:“・・・――中略――人々よ、挨拶を広めよ。食事を施せ。人々が眠っている間に、サラー(礼拝)に勤しめ。(そうすれば)平安と共に天国に入るであろう。”」(アッ=ティルミズィーとイブン・マージャの伝承 )

● 挨拶の仕方:

1-至高なるアッラーはこう仰せられました:そしてあなた方が挨拶を受けたら、それよりもっとよい形の挨拶で挨拶するか、あるいは同じ言葉を返すのだ。実にアッラーはあらゆる事柄をも(しさい,仔細に)計算されるお方である。(クルアーン4:86)

2-イムラーン・ブン・フサイン(彼らにアッラーのご満悦あれ)は言いました:「ある男が預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)のもとを訪れ、こう言いました:“アッ=サラーム・アライクム(あなた方に平安あれ)。”すると預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)はその挨拶に応じました。そして座ると、こう言いました“10(倍の報奨)だ。”次にまた別の男が来て、言いました:“アッ=サラーム・アライクム・ワ・ラフマトッラー(あなた方に平安とアッラーのご慈悲あれ)。”すると預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)はその挨拶を返してから座ると、こう言いました:“20(倍の報奨)だ。”それからまた別の男がやって来て、こう言いました:“アッ=サラーム・アライクム・ワ・ラフマトッラー・ワ・バラカートフ(あなた方に平安と、アッラーのご慈悲と祝福あれ)。”すると預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)はその挨拶を返してから座ると、こう言いました:“30(倍の報奨)だ。”」(アブー・ダーウードとアッ=ティルミズィーの伝承 )

● 先に挨拶をする者の徳

1-アブー・アイユーブ・アル=アンサーリー(彼にアッラーのご満悦あれ)によれば、アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:「ムスリムは、会えば背き合うようにして、その同胞を3夜以上避け続けることは許されない。そして彼らの内、先に挨拶を始める方がより優れているのだ。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

2-アブー・ウマーマ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は言いました:“アッラー(のご慈悲)により近いのは、先に挨拶を始める者である。”」(アブー・ダーウードとアッ=ティルミズィーの伝承 )

● 挨拶をする相手の優先度:

1-アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)によれば、預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:「年少の者は年配の者に、通行者は座っている者に、少数の者たちは多数の者たちに挨拶するのだ。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

2-アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)によれば、アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:「乗り物に乗った者は歩行者に、歩行者は座っている者に、少数の者たちは多数の者たちに挨拶するのだ。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

● 誘惑などの危険がない場合において、女性や子供に対する挨拶:

1-アナス・ブン・マーリク(彼にアッラーのご満悦あれ)が伝えるところによれば、彼は子供たちの前を通りかかった時、彼らに挨拶をしました。そして言いました:「預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)はこうしていたのです。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

2-アスマーゥ・ビント・ヤズィード(彼女にアッラーのご満悦あれ)は、言いました:「預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は私たち女性の所を通ると、私たちに挨拶をしました。」(アブー・ダーウードとイブン・マージャの伝承 )
 

● 誘惑などの危険がない場合において、女性が男性に挨拶すること:

ウンム・ハーニー・ビント・アビー・ターリブ(彼女にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「私はマッカ解放の年にアッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)のもとに赴きましたが、その時彼は沐浴中で、彼の娘ファーティマが彼を(仕切り代わりになるような物でもって)隠していました。私が彼に挨拶すると、彼は言いました:“これは誰か?”私は言いました:“ウンム・ハーニー・ビント・アビー・ターリブです。”(すると預言者は)言いました:“ウンム・ハーニーよ、ようこそ。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

● 家に入った時の挨拶:

1−至高なるアッラーはこう仰せられました:あなた方が他の家に入ったならば、あなた方の同胞にアッラーからの、祝福に溢れた美しい挨拶をするのだ。(クルアーン24:61)

2−至高なるアッラーはこう仰せられました:あなたがた信者よ、許しを求めて、家族に挨拶するまでは、自分の家以外の住まいに入ってはならない。それはあなたがたのために善い。必ずあなたがたは留意するであろう。もし家に誰もいないと分ったならば、許しがあるまで、それに入ってはならない。もし帰るよう言われた時は帰れ。それはあなたがたのために一段と清廉である。アッラーはあなたがたの行うことを知っておられる。(クルアーン24:27,28)
● ズィンミー には先に挨拶しないこと:

1-アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:“ユダヤ教徒やキリスト教徒に対して、あなた方から挨拶をしてはならない。”」(ムスリムの伝承 )

2-アナス(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「預言者(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は言いました:“啓典の民があなた方に「アッ=サラーム・アライクム(あなた方に平安あれ)」と挨拶したら、「ワ・アライクム(そしてあなた方にも) 」と言うのだ。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

● ムスリムと異教徒が混合している場合の挨拶について:

ウサーマ・ブン・ザイド(彼らにアッラーのご満悦あれ)は言いました:「預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)はサアド・ブン・ウバーダのもとに戻りました・・・――中略――ムスリムと偶像を崇拝するシルク の徒とユダヤ教徒が一緒に座っている場所を通りかかると、預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は彼らに挨拶し、立ち止まりました。そして(乗っていた家畜から)降りると、彼らをアッラー(の宗教)へと勧誘し、彼らのためにクルアーンを読みました。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

● 退出時と来訪時の挨拶:

アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は言いました:“あなた方が集まりの場を通りかかったら、挨拶するのだ。そしてそこから立ち去りたい時にも、挨拶するのだ。前者の方が後者よりもそうするのに値するわけではない 。”」(アブー・ダーウードとアッ=ティルミズィーの伝承 )

● 握手の徳:

1-アル=バラーゥ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は言いました:“2人のムスリムが会って握手するならば、彼らが別れる前に彼ら(の罪)は赦されるであろう。”」(アブー・ダーウードとアッ=ティルミズィーの伝承 )

2-アナス・ブン・マーリク(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「ある男が言いました:“アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)よ、私たちは兄弟か友人(であるムスリム)と会ったら、彼にお辞儀すべきですか?”(預言者は)言いました:“いや。”(男は)言いました:“彼を抱きしめてキスすべきですか?”(預言者は)言いました:“いや。”(男は)言いました:“それでは彼の手を取り、握手しますか?”(預言者は)言いました:“そうだ。”」(アッ=ティルミズィーとイブン・マージャの伝承 )

● 握手と抱擁をする時:

アナス(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)の教友たちは会えば握手し合い、旅行に発つ時には抱き合ったものでした。”」(アッ=タバラーニーの伝承 )

● 不在者に対する挨拶の仕方:

アーイシャ(彼女にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は彼女にこう言いました:““アーイシャよ、ジブリールがあなたに挨拶(「アッ=サラーム・アライクム」という言葉)しているぞ。”(それで)私は言いました:“ワ・アライヒ・アッ=サラーム・ワ・ラフマトッラーヒ・ワ・バラカートフ(そして彼にも平安と、アッラーのご慈悲と祝福がありますよう)。あなたは私の見えないものをご覧になられるのですね。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )  

● 訪問者に栄誉の意を示す意味で起立することに関して:

1-アブー・サイード(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「クライザ族がサアド・ブン・ムアーズの判決に服したことに関し、預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は彼(サアド)に(預言者のもとへと召喚すべく)使いを送りました。そして(預言者は周りの者たちに)言いました:“あなた方の長のために起立するのだ。”あるいは“あなた方の最良の者”と言いました。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

2-アーイシャ(彼女にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「ファーティマ――アッラーが彼女のお顔を貴くされることを――よりも、アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)のよき気風と導きと立ち居振る舞いにおいて酷似している者はありませんでした。彼女が彼の所に来れば、彼は彼女のために立ち上がり、彼女の手をとってキスしました。そして彼女をその場に座らせました。また彼が彼女の所に来れば、彼女は彼のために立ち上がりました。そして彼の手をとってキスすると、その場に彼を座らせました。」(アブー・ダーウードとアッ=ティルミズィーの伝承 )

● 誰かを起立させたまま仕えさせることを喜ぶ者の罰:

ムアーウィヤ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「私はアッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)がこう言うのを聞きました:“男たちを(自身に対する敬意ゆえに)起立させたまま仕えさせることを喜ぶ者は、地獄の業火の中に住むことになろう。”」(アブー・ダーウードとアッ=ティルミズィーの伝承 )
 
● 挨拶を聞いてもらえなかった時には、3度挨拶すること:

アナス(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は何か1つの単語を話す時には、それがよく(人々に)理解されるべく3回繰り返しました。そして人々のもとを訪れた時には、3回挨拶したものです。(アル=ブハーリーの伝承 )  

● 用便中は挨拶を返さないこと:

1-イブン・ウマル(彼らにアッラーのご満悦あれ)は言いました:「ある男がアッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)の用便中に通りかかり、彼に挨拶をしました。しかし彼はそれに対して返事をしませんでした。」(ムスリムの伝承 )

2-アル=ムハージル・ブン・カンフズ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「彼は預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)の用便中に通りかかり、彼に挨拶しました。しかし彼は返事をせず、ウドゥー をした後に彼に振り返ると、こう言いました:“体が清浄な状態でない時に、偉大かつ荘厳なるアッラーの御名を言及したくなかったのだ。”」(アブー・ダーウードとアン=ナサーイーの伝承 )

● 来訪者に親愛をもって接すること。及び初対面の者が自己紹介し、その立場を表明すること:

アブー・ジャムラ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「私はイブン・アッバースと人々の間の説明役を務めていました。彼(イブン・アッバース)は言いました:“(ある時)アブド・アル=カイスの使節団が預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)のもとにやって来ました。彼(預言者)は言いました:「使節団とは誰か?(あるいは「どの民だ?」)」(人々は)言いました:「ラビーア部族です。」すると(預言者は)言いました:「ようこそ、民よ(あるいは「使節団よ。」)あなた方は憂き目も見なければ、酒に遊ぶこともない方々である 。」。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

● 「アライカ・アッ=サラーム」で挨拶を始めることの忌避性:

1-アブー・ジュライ・アル=フジャイミー(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「私は預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)のもとを訪れ、こう言いました:“預言者よ、アライカ・アッ=サラーム。”すると彼は言いました:“「アライカ・アッ=サラーム」と言うのではない。「アッ=サラーム・アライカ」と言うのだ。なぜならそれは死人の挨拶であるから。”」(アブー・ダーウードとアッ=ティルミズィーの伝承 )

● 挨拶とその返事の後に言うことに関して

ウンム・ハーニー・ビント・アビー・ターリブ(彼女にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「私はマッカ解放の年にアッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)のもとに赴きましたが、その時彼は沐浴中で、彼の娘ファーティマが彼を(仕切り代わりになるような物でもって)隠していました。私が彼に挨拶すると、彼は言いました:“これは誰か?”私は言いました:“ウンム・ハーニー・ビント・アビー・ターリブです。”(すると預言者は)言いました:“ウンム・ハーニーよ、ようこそ。”」それから、彼は沐浴を終えると、立ち上がりました。そして1枚の服をまと,纏い、8ラカーのサラーを行いました。そして、彼が終えられると、言いました:“アッラーの使徒よ、私の母の兄がある男を殺害すると宣言しています。彼は私が保護しているフバイラのある息子です。”そうして預言者(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は言いました:“あなたが保護している者を、私たちも保護しよう。ウンム・ハーニーよ。”」ウンム・ハーニーはこう付け加えた:「それは午前中の出来事でした。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

2-飲食の礼儀作法

● ムスリムの食物は合法的かつよいものであること:

1-至高なるアッラーは仰せられました:信仰する者たちよ、われら(アッラーのこと)があなた方に与えたよきものを食べよ。そしてあなた方が本当にかれ(アッラー)を崇拝するのなら、かれに感謝せよ。(クルアーン2:172)

2-至高なるアッラーはこう仰せられました:トーラーと福音書の中に記されているのを彼ら(啓典の民)が見出すところの、文盲の使徒、預言者に従う者たち。彼こそは善を勧め悪を禁じ、彼らによきものを合法なものとし、悪しき物を彼らに禁じる。(クルアーン7:157)

● 目上の方や、身分の高い方が他の人々よりも先に食事に手をつけること:

フザイファ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました: 「私たちは預言者と御一緒に食事をした時は、その御方が先ず(食べ物に)手を置かれ、食べ始められてから私たちも食事を始めました。」(ムスリムの伝承 )

● 食事前にアッラーの御名を唱え、自分の手前にある物から手を付けること:

1-ウマル・ブン・アビー・サラマ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)時代、私は幼い子供でした。そして私の手は、(食事の載っている)皿の上を(お目当ての物を探して)さまよっていたものです。それでアッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は私に言いました:“僕、アッラーの御名を唱えるんだ。そして右手で、自分の手前の物から食べ始めるんだよ。”そして私は現在に至るまで、その食べ方に従っているのです。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

2-イブン・マスウード(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は言いました:“食事前にアッラーの御名を唱えることを忘れた者は、それを思い出した時にこう唱えるのだ:「(この食事の)始まりと終わりに、アッラーの御名において。」そうすれば彼は新たに食事に向かい、被るはずだった悪しき物を回避することが出来るのだ。”」(イブン・ヒッバーンとイブン・アッ=スンニーの伝承 )
 
● 右手で飲食すること:

イブン・ウマル(彼らにアッラーのご満悦あれ)によれば、アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:「食べる時は右手で食べよ。そして飲む時は右手で飲むのだ。というのもシャイターン(悪魔)こそが左手で食べ、左手で飲むのだから。」(ムスリムの伝承 )

● 飲んでいる時、容器の外で息をつくこと:

アナス(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は(何かを)飲む時、3度呼吸を置いたものでした。そしてこう言いました:“(これは)最も潤わせ、(渇きの苦しみを)癒し、喉心地のよいものである。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

● 他人に飲ませる方法:

アナス・ブン・マーリク(彼にアッラーのご満悦あれ)によれば、アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)のところに、水で薄められた乳が運ばれて来ました。彼の右側にはベドウィンの男、左側にはアブー・バクルがいましたが、彼は自らそれを飲んでから、それをベドウィンの男に渡しました。そしてこう言いました:“右から右に(優先的に回すのだ)。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )
 
● 座って飲むことの推奨:

アブー・サイード・アル=フドゥリー(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は立ちながら飲むことを咎められました。」(ムスリムの伝承 )

● 立って飲むことは許容される

ナッザールは言いました:「アリー(彼にアッラーのご満悦あれ)がモスクの中庭の門へやって来ました。そして、立ったまま水を飲みました。そして、彼は言いました“ある人々は立ったまま飲むことを嫌っています。しかしあなた方が見たように、私は預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)が私がしたことと同じことをなされたのを見ました。”」(アル=ブハーリーの伝承 )

● 金や銀製の器で飲食しないこと:

フザイファ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「私は預言者(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)がこう言うのを聞きました:“絹や錦をまとってはならない。そして金や銀で出来た器で飲んだり、食べたりしてはならない。それらは現世において彼ら(不信仰者たち)のものであり、来世においては私たちのためのものであるからなのだ。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )
 
● 食事の仕方:

1-カアブ・ブン・マーリク(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は3本の指で食べ、(食べ終わった後には)手を拭く前にそれらをなめたものでした。」(ムスリムの伝承 )

2-アナス(彼にアッラーのご満悦あれ)によれば、アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は食事する時には、3本の指をなめたものでした。またこう言ったものでした:「もし1口分(の食事)が(床や地面に)落ちてしまったら、汚れを取り除いて食べるのだ。シャイターン(悪魔)のためにそれを残してはならない。」そして(アッラーの使徒は)器を(最後まで)綺麗に食べることを命じました。彼は言ったものです:「あなた方は食物のどこに祝福があるか分からないのだ。」(ムスリムの伝承 )

3-イブン・ウマル(彼らにアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は、同席の者たちの許可なしにナツメヤシの実を2ついっぺんに食べることを禁じられました。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

4-アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)によれば、預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:「あなた方は右手で飲食し、右手で物の受け渡しをするのだ。というのもシャイターン(悪魔)こそは左手で飲食し、左手で物の受け渡しをするからである。」(イブン・マージャの伝承 )

● 食べる分量:

1-至高なるアッラーはこう仰せられました:アーダムの子孫よ、どこのモスクでも衣服を身に着けなさい。そして食べたり飲んだりしなさい。だが度を越してはならない。本当にかれは度を越す者を御好みにならない。(クルアーン7:31)

2-アーイシャ(彼女にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「預言者ムハンマドの家族は、マディーナに移って以来彼が逝去するまでの間に、三日つづけて小麦による食物を存分に食べたことはありませんでした。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

● 食事に難癖を付けないこと:

アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「預言者(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)が食べ物に難癖を付けることは、全くありませんでした。おいしければ食べ、気に入らない時は手を付けませんでした。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )
 
● 食べ過ぎないこと:

イブン・ウマル(彼にアッラーのご満悦あれ)によれば、預言者は言いました:「不信仰者は7本の腸(が満たされるま)で食べるが、信仰者は腸1本(を満たすほどに)食するのみである。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

● 時に満腹になるまで食べても許されること:

アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「私が(激しい空腹のため)極度の疲労に襲われていました。そこへ、ウマル・ブン・アル=ハッターブがやって来ました。私は彼にクルアーンの一節について解釈を頼みました。彼は家に入り、私にそれを説明しました。(その後私は彼の家を出て)少し歩きました。すると私は、飢えと疲労のため顔から倒れてしまいました。すると、突然アッラーの使徒が私の頭上に立っておられました。そして言いました:“アブー・フライラよ。”私は答えました:“はい、アッラーの使徒よ、ここにおります。”それからアッラーの使徒は私を抱え起こしてくださいました。そして私がなぜ倒れていたのか、お知りになりました。そうして、彼は私を彼の家へと連れて行ってくださり、私に大きな器に入ったミルクを飲むように命じられ、(次のように)言われました:“アブー・ヒッラ(アブー・フライラのこと)よ、もっと(飲むの)だ。”私は、また飲みました。そして、彼は言われました“もっとだ。”そうして、私はお腹が玉のように膨れ上がるまでまた飲みました。」(アル=ブハーリーの伝承 )

● 食事をご馳走し、それにより人を慰安させることの徳:

1-ジャービル・ブン・アブドッラー(彼らにアッラーのご満悦あれ)は言いました:「私はアッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)がこう言うのを聞きました:“1人分の食事は2人(が食べるの)に十分であり、2人分の食事は4人(が食べるの)に十分であり、4人分の食事は8人(が食べるの)に十分なのである。”」(ムスリムの伝承 )

2-アブドッラー・ブン・アムル(彼らにアッラーのご満悦あれ)は言いました:ある男が預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)に訊ねました:「“イスラーム(の特質、行為)の中で何が最善ですか?”(預言者は)言いました:“食事をご馳走し、知る者にも知らない者にも挨拶することである。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

3-アブー・アイユーブ・アル=アンサーリー(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は食べ物が持って来られるとそれを食べ、そして余った分を私に送ってくれたものでした。」(ムスリムの伝承 )
 
● 食事を称えること:

ジャービル・ブン・アブドッラー(彼らにアッラーのご満悦あれ)は言いました:預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)はパンと付け合せにするおかずを家族に求めました。すると(彼の家族は)言いました:「“(今)私たちのもとには酢しかありません。”すると彼はそれを持って来させると、それでパンを食べ始めました。そして言いました:“酢は何とよき食事であろう。酢は何とよき食事であろう。”」(ムスリムの伝承 )

● 飲み物の中に息を吹き込まないこと:

アブー・サイード・アル=フドゥリー(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)はコップの割れ目から飲むこと、そして飲み物の中に息を吹き込むことを禁じられました。」(アブー・ダーウードとアッ=ティルミズィーの伝承 )

● 飲み物を注ぐ者自身が飲む順番は、最後であること:

アブー・カターダ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は私たちに説教しました。――中略――そして言いました:“人々に飲み物を注ぐ者は、彼らの中で最後に(それを)飲む者である。”」(ムスリムの伝承 )

● 客の入室と退出の頃合:

至高なるアッラーは仰せられました:信仰する者たちよ、預言者の家に食事に呼ばれても、その準備がされるのを待たずに入って来てはならない。そして(入りなさい、と)呼ばれた時に、初めて入るのだ。食事が終わったら解散し、くつろいで長話にふけ,耽ってはならない・・・(クルアーン33:53)

● 客人をもてなし、自ら仕えること:

1-至高なるアッラーは仰せられました:あなたに、イブラーヒームの貴い客人たちの話は伝わったであろう。彼らは彼のもとを訪れると挨拶し、彼(イブラーヒーム)も言った:「あなた方にも平安あれ。見慣れぬ方々よ。」そして彼は家族のもとへ赴くと、太った子牛(の肉)を携えて来た。そしてそれを彼らに差し出したが、(彼らがそれに手を付けようとしないのを見て)言った:「食べないのですか?」(クルアーン51:24-27)

2-アブー・シュライフ・アル=カァビー(彼にアッラーのご満悦あれ)によれば、アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:「アッラーと最後の日を信じる者は、客人をもてなすのだ。(最初の)1昼夜は丁重にもてなし、2日目と3日目は通常のもてなし方をし、その後(のもてなし)はサダカ(慈善行為)である。そして客は、主人が当惑するまで滞在することを許されない。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

● その地位に相応しく客人をもてなすこと:

アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒はある日、またはある夜お出かけになりました。すると突如、アブー・バクルとウマルにお会いになられました。アッラーの使徒は申されました:“このような時間にどうして家を出て来られたのか。”二人は言いました:“アッラーの使徒よ、空腹のためです。”アッラーの使徒は言いました:“私の命を手中にしておられる御方に誓って、あなた方が家を出た原因は私が家を出た原因でもあるのです。さあ一緒に来なさい。”それで彼らはアッラーの使徒と一緒に行きました。そこで、使徒はアンサールの一人の所に行かれました。しかし、彼は留守でした。彼の妻が使徒を見て、言いました:“ようこそ、ようこそ御越し下さいました。”使徒は彼女に言いました:“御主人はどちらに行かれたのか。”彼女は言いました:“夫はわれわれのために新しい水を汲みに行きました。”その時そのアンサールは帰って来ました。そしてアッラーの使徒やお供の人達を見て、言いました:“アッラーに讃えあれ、本日、私にとってこのように名誉な客人が他にありましょうか。”そして、彼は出て行き、完熟前のもの、乾いたもの、完熟したナツメヤシの房をもって来ました。そして言いました:“さあ、どうぞこれをお上がり下さい。”それから彼は(羊を屠るための)ナイフを取りました。アッラーの使徒は言いました:“乳を出すものは屠らぬように。”彼は訪問者へ羊を屠り、訪問者はその肉やナツメヤシの実を食しかつ喉を潤しました。彼らが十分に食べ、のどの渇きを癒した時、アッラーの使徒はアブー・バクルとウマルに言いました:“私の命を手中にされている御方に誓って、復活の日あなた方はこの恩恵について必ず問われるであろう。あなた方は空腹のために家を出て、この恩恵にめぐり会うまで、家に戻らなかった。(つまり、これはアッラーに感謝せねばならぬことです。)”」(ムスリムの伝承 )

● 食事中の人々の座り方について:

至高なるアッラーは仰せられました:あなたがたは、一緒にまたは別々に食べても、咎めはない。それで家に入る時は、アッラーの御許から祝福された良い挨拶の言葉で、人びとに挨拶しなさい。このようにアッラーは、あなたがたのために印を解き明かされる。きっとあなたがたは理解するであろう。(クルアーン24:61)

● 食事のときの作法について:

1-アブー・ジュハイファ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は言いました:“私は寄りかかりながら食べない。”」(アル=ブハーリーの伝承 )
 
2-アナス(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「私は預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)がでんぶ,臀部を床に付けて両膝を立てながら座り、ナツメヤシの実を食べているのを見ました。」(ムスリムの伝承 )

3-アブドッラー・ブン・ブスル(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「ある時預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)に羊が1頭贈られました。アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は両膝をついてそれを食べましたが、(それを見た)ベドウィンの男は言いました:“その座り方は何だ?”すると(預言者は)言いました:“アッラーは私を慎み深いしもべとされたのであり、高慢で頑迷な者とはされなかったのだ。”」(アブー・ダーウードとイブン・マージャの伝承 )

● 忙しい者の食事の仕方:

アナス(彼らにアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)のもとに、ナツメヤシの実が持って来られました。預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は(その時彼が従事していた仕事ゆえに)それを急いで(人々に)分配すると、それを手早く食べました。」また別の伝承にはこうあります:「せき立てられるように食べました。」(ムスリムの伝承 )

● 水の容器にふた,蓋をし、寝る前にそこにアッラーの御名を唱えること:

ジャービル・ブン・アブドッラー(彼らにアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:“――中略――そして扉を閉め、アッラーの御名を唱えよ。そして灯りを消し、アッラーの御名を唱えよ。また水袋(の口)を閉じ、アッラーの御名を唱えよ。そしてそこに何かを載せるだけでもよいから、容器にふた,蓋をし、アッラーの御名を唱えよ。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

● 使用人と共に食事すること:

アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:“使用人があなた方に食べ物を(作り、それを)携えてやって来て、そして彼があなた方と共に座って食べないのなら、彼に(その量や状況に応じて)1食か2食分、あるいは1口か2口分食べさせてやるのだ。彼は(それを調理するため)暑さや(火傷などの)怪我を我慢したのであるから。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

● 夕食が用意されたら、イシャー(夜の礼拝)を急がないこと:

アナス(彼にアッラーのご満悦あれ)によれば、預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:「夕食が用意され、そしてイシャー(夜の礼拝)が始まったら、先に夕食に取り掛かるのだ。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

● 皿からいかに食べるか:

イブン・アッバース(彼らにアッラーのご満悦あれ)によれば、預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:「食事する時は皿の上の方からではなく、下の方(手前)から食べるのだ。というのも祝福は皿の上の方から下って来るからである。」(アブー・ダーウードとアッ=ティルミズィーの伝承 )

● 食事をしたり、ミルクを飲んだりする時の言動:

イブン・アッバース(彼らにアッラーのご満悦あれ)によれば、預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)はミルクを飲んだ後、水を持って来させてうがいをしました。そして言いました:「ミルクには脂肪分があるのだ。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

● 食後にアッラーを讃える言葉:

アナス(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は言いました:“実にアッラーは、しもべが食べ物を食べて、それゆえにアッラーを賞賛することをお悦びになられる。あるいは(しもべが)飲み物を飲んで、それゆえにアッラーを賞賛することをお悦びになられる。”」(ムスリムの伝承 )

● 食事を終えた後に言う言葉:

1-アブー・ウマーマ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は食事を終える時にこう言いました:“限りない、素晴らしい、祝福された讃美で私たちの主アッラーを称えます。私たちの主よ、(かれに対しての)讃美はこれで充分ということはなく、またそれは途絶えることもなく、かつ不可欠です。”」(アル=ブハーリーの伝承 )

2-アブー・ウマーマ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は食事を終えると、一度こう言いました:“私たちの必要を満たしてくださり、私たちを喉の渇きから癒してくださるアッラーを讃えます。私たちの主よ、(かれに対しての)讃美はこれで充分ということはなく、恩に報いないと言うこともありません。」(アル=ブハーリーの伝承 )

3-アブー・アイユーブ・アル=アンサーリー(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は食べたか飲んだかした後には、こう言ったものでした:“食べさせ、飲ませられ、そしてそれら(を摂取すること)を容易にされ、かつその(排泄の)ための出口を創って下さったアッラーにこそ全ての賞賛あれ。”」(アブー・ダーウードの伝承 )

4-「アッラーよ、あなたは(私たちに)食べさせ、飲ませ、(私たちを)豊かにし、与え、導き、生かして下さいました。(全て)あなたがお恵みになられたものゆえ、全ての賞賛はあなたにこそあるのです。」(アフマドの伝承 )

● 食事を振舞った者に対する、客のドゥアー(祈願):

1-「アッラーよ、あなたが彼らにお恵みになったものにおいて、彼らを祝福して下さい。そして彼らをお赦しになり、彼らにご慈悲をおかけ下さい。」(ムスリムの伝承 )

2-アナス(彼にアッラーのご満悦あれ)によれば、預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)がサアド・ブン・ウバーダを訪問した時、彼(サアド)はパンと油を持って来ました。預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)はそれを食べると、こう言いました「あなた方のもとでサーイム たちがサウム(斎戒、いわゆる断食)を解き、正しくよき人々があなた方の食べ物を食べ、あなた方に対し天使たちがお赦しを祈ってくれますように。」(アブー・ダーウードとイブン・マージャの伝承 )

● 飲み物を与えてくれた、あるいはそうしようとした者へのドゥアー(祈願):

「アッラーよ、私に食事を施した者に食事を恵みたまえ。そして私に飲み物を与えた者に飲み物を与えたまえ。」(ムスリムの伝承 )

3-路上と市場での礼儀作法

路上での礼儀作法

● 公道での義務:

1-アブー・サイード・アル=フドゥリー(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:“公道に座りこむのではない。”それで(教友たちは)言いました:“アッラーの使徒よ、話し合うための場所が他にないのです。”すると(預言者は)言いました:“やむを得ずそうするなら、公道での義務を守るのだ。”(教友たちは)言いました:“公道の義務とは何ですか、アッラーの使徒よ。”(預言者は)言いました:“視線を(様々な問題を及ぼす物事から)下げること、害悪の阻止、挨拶を返すこと、そしてよき言葉である。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

2-そして別の伝承にはこうあります:「“公道に座り込むのではない。” それで私たちは言いました:“私たちは、特に問題のないことにおいて座っていたのです。座って勉強し、話し合っていたのですよ。”すると(預言者は)言いました:“もしそうであるなら、公道での義務を守るのだ:(つまりそれは)視線を(様々な問題を及ぼす物事から)下げること、挨拶を返すこと、そしてよき言葉である。”」(ムスリムの伝承 )

3-また別の伝承にはこうあります:「“そして惨めな境遇にある者を慰め、迷っている者を導いてやることである。”」(アブー・ダーウードの伝承 )

● 路上から害悪を除去すること:

アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:“私は、道路の真ん中で人々(の交通)をはば,阻んでいた1本の木を切ったことにより、天国(での享楽)を堪能している男を見た。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

● 路上で用を足すことの禁止

アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:“呪いをひき起す二つの事柄に気をつけなさい。”人々は尋ねました:“使徒よ、呪いをひき起すとはどんなことですか”彼はお答えになりました:“人々の通る路上、または、人々の休息のための日蔭で用便を足すことです。”」 (ムスリムの伝承 )

● 路上やその他の場所において、キブラ の方角に唾を吐かないこと:

フザイファ(彼にアッラーのご満悦あれ)によれば、アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:「キブラの方角に唾を吐く者は、審判の日その唾を眼前に見出すであろう・・・」(イブン・フザイマとアブー・ダーウードの伝承 )

● 乗り物に乗る時に言うこと:

至高なるアッラーは仰せられました:アッラーを讃えます。これらのもの(乗り物用の家畜や船)をわたしたちに服従させる御方。これはわたしたちには叶わなかったことです。本当にわたしたちは、主に必ず帰ります。(クルアーン43:13,14)

● 道中に乗り物用の家畜の福利を配慮し、夜に路上で宿営しないこと:

アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:“旅路で草地を通りかかったら、ラクダにも地上からの分け前を与えてやるがよい。また不毛の地を通りかかったら、歩を早めるがよい。そして夜に宿営するのなら、路上は避けよ。そこは害虫の通り道であるから。”」(ムスリムの伝承 )

● 傲慢に歩くことを避けること:

1-至高なるアッラーは仰せられました:他人に対して(高慢に)あなたの頬を背けてはならない。また地上を横柄に歩いてはならない。本当にアッラーは、傲慢な自惚れ者を御好みになられない。歩き振を控えめにし、声をひそめなさい。本当に声の最もいと,厭わしいのは、ロバの声である。(クルアーン31:18,19)

2-アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「預言者は言いました:“ある者が己の濃い髪の毛や、外衣を自慢して歩いている間に、その者は大地に沈められた。その者は復活の日まで、ずるずると地深く沈み続けるのだ。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

● 売買における寛容さ:

ジャービル・ブン・アブドッラー(彼らにアッラーのご満悦あれ)によれば、アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:“アッラーは売買、及び(債務などの)遂行において寛容な者を慈しまれる。”」(アル=ブハーリーの伝承 )
 
● 借金返済の期限を守ること:

アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)によれば、アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:「裕福な者が借金返済を遅延するのは、不正である。そして裕福な者があなた方の債務を肩代わりするのなら、彼にそうさせるのだ。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

● 債務に苦しむ者に返済期限の猶予を与え、また大目に見てやること:

アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:“人にお金を貸す、ある商人がいた。彼は債務に苦しむ者を見ると、使用人たちにこう言った:『彼(の返済義務)を大目に見てやるのだ。アッラーも私たち(の罪)を大目に見て下さるかもしれないから。』そしてアッラーは(実際に)彼(の罪)を大目に見て下さったのだ。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )
 
● 礼拝時間における売買の禁止:

至高なるアッラーは仰せられました:信仰する者たちよ、金曜日にサラー(礼拝)の呼びかけが成されたらアッラーの唱念に勤め、売買を(一旦)放棄するのだ。それこそがあなた方にとって最善なのである。もしあなた方がこのことを知っていたら(そうするのであるのに)。そしてサラー(礼拝)が終わったら地上に散開し、アッラーのお恵みを求め(努力す)るのだ。そしてアッラーをよく唱念せよ。あなた方は恐らく成功するであろう。(クルアーン62:9,10)

● あらゆる状況において公正を貫くこと:

至高なるアッラーは仰せられました:秤を(不当に)減らす者たちに災いあれ。彼らは人に量らせる時にはしっかりと(正当な)取り分を求めるくせに、自らが彼らのために量る時には(それらを少なめに見積もって)損失を与える。彼らは(死後)復活させられないとでも思っているのか。その偉大な日に。人間が万有の主へと向かって立ち上がる日に。(クルアーン83:1-6)
 
● むやみやたらに誓うことの回避:

アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「私はアッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)がこう言うのを聞きました:“誓いは商品(を手早くさばく)には役立つが、(真の)利益を抹消してしまうものである。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )
 
● 非合法かつ悪質な売買や交渉、物事の回避:

1-至高なるアッラーはこう仰せられました:そしてアッラーは売買を合法化され、利子を禁じられた。(クルアーン2:275)

2-至高なるアッラーはこう仰せられました:信仰する者たちよ、酒と賭け事、偶像とアル=アズラーム はシャイターン(悪魔)の行いであり、不浄である。ゆえにそれらを避けるのだ。(そうすれば)あなた方は成功するであろう。(クルアーン5:90)

3-至高なるアッラーはこう仰せられました:・・・彼(預言者ムハンマド)こそは善を勧め悪を禁じ、彼ら(その追従者たち)によきものを合法なものとし、悪しき物を彼らに禁じる。(クルアーン7:157)

● ぎまん,欺瞞や嘘の禁止:

1-アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は(ある時)積み重なった食料の山を通りかかりました。そしてそこに手を入れると、指が濡れたのでこう言いました:“(この)食料の持ち主よ、これは一体どうしたことか?”すると(食料の持ち主は)言いました:“アッラーの使徒よ、雨で濡れてしまったのです。”それで(預言者は)言いました:“それでは人々が(一目見て)分かるように、その(濡れた)部分を上にしておけばいいではないか?他人を欺く者は私たちの仲間ではないのだぞ。”」(ムスリムの伝承 )

2-ハキーム・ブン・ヒザーム(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は言いました:“売買交渉する両者は、その(売買取引の)場にある限り、(取引の最終決定に関する)選択権を有する。”あるいはこう言いました:“・・・別れるまで(取引の最終決定に関する)選択権を有する。それで(その交渉取引において両者が)正直であり、また(商品の詳細に渡って)説明するならば、彼らはその取引において祝福されるであろう。しかし(その交渉取引において両者が)何かを隠蔽し、また嘘をついたりするならば彼らのその取引における祝福は抹消されるであろう。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

● 商品の独占の禁止:

マァマル・ブン・アブドッラーは言いました:「預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:“独占する者は罪深い者である。”」(ムスリムの伝承 )

4-旅行における礼儀作法

● 善き人々に助言を請うこと:

アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「ある男は言いました:“アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)よ。私は旅行に出たいのですが、何か助言して下さい。”(アッラーの使徒は)言いました:“アッラー(のお怒りや懲罰の原因となるような事柄)に対して身を慎むのだ。そして高い場所に上るたび、アッラーの偉大さを讃えよ。”そして男が立ち去ると、(アッラーの使徒は)言いました:“アッラーよ、彼のために大地をくるんで(その旅路を短くして)下さい。そして彼に、旅をたやす,容易いものとして下さい。”」(アッ=ティルミズィーとイブン・マージャの伝承 )

● 旅行者の門出に際して、それを見送る者が言うこと:

イブン・ウマル(彼らにアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は、私たちが旅に出る別れの際、挨拶をしてこう言ったものでした:“私は、あなたの宗教とあなたが後に残した(家族や財産などの)もの、そしてあなたの行為の集大成をアッラーの御許に委ねてお別れします。”」(アッ=ティルミズィーの伝承 )
 
● 旅行者が別れの挨拶を言う者に対して言うこと:

アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は私に別れの挨拶をして、こう言いました:“私は、信託を破棄されることのないアッラーの御許にあなた方を委ねてお別れします。”」(アフマド伝承 )
 
● 敬虔な者と旅路を共にすること:

アブー・ムーサー(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:“善き同伴者と悪いそれの例は、あたかも香水を有する者と、ふいごを吹く者(鍛冶屋)のようなものである。香水を有する者は、あなたにそれを贈り物とするか、またはそれを売るか、あるいはあなたは彼に芳香を見出すことであろう。しかしふいごを吹く者(鍛冶屋)は(火の粉を飛ばして)あなたの衣服に焦げ目を付けたり、悪い匂いを嗅がせたりするしかないのである。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

● 必要以外で単身の旅行をしないこと:

イブン・ウマル(彼らにアッラーのご満悦あれ)は言いました:「預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:“もし人々が1人であること(の危険性や弊害)について私の知ることを知ったのなら、夜1人で旅するようなことはないであろう。”」(アル=ブハーリーの伝承 )

● 旅行に犬や鐘を同伴しないこと:

アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:“天使 は、犬や鐘を同伴する旅行者には同行しない。”」(ムスリムの伝承 )
 
● 旅行、及びその他の状況において同行者を助けること:

アブー・サイード・アル=フドゥリー(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「私たちが預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)と共に旅路にある時、ラクダに乗った1人の男がやって来ました。そして(男は物欲しそうに)左右を眺め回しました。そこでアッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は言いました:“(乗るための)ラクダを余計に持っている者は、持っていない者に与えてやるのだ。そして蓄えに余裕がある者は、ない者に与えてやるのだ。”」(ムスリムの伝承 )
 
● 旅立ちの日の時について:

カアブ・ブン・マーリク(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)はタブークの役の際、木曜日に出発しました。また彼は、木曜日に出発することを好んでいました。」
また別の伝承には次のようにあります:アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)が木曜日以外に旅立つのは、稀なことでした。(アル=ブハーリーの伝承 )

● 旅行の出発は朝に、遠征の出発は夜に行うこと:

1-サハル・アル=ガーミディー(彼らにアッラーのご満悦あれ)は言いました:「預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:“アッラーよ、わが共同体をその早朝(からの行い)において祝福して下さい。”そして遠征団、あるいは軍を派遣する時には、午前中の早い内にそうしたものでした。」(アブー・ダーウードとアフマドの伝承 )
 
2-アナス(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は言いました:“遠征する時には、夜出発せよ。地面は夜に曲げられて、縮小するのであるから 。”」(アブー・ダーウードとアフマドの伝承 )

● 乗り物に乗る時のドゥアー(祈願)の言葉:

至高なるアッラーは次のように仰せられた:これを私たちに従属せしめられたお方の崇高さを讃えます。私たちがこのようなことを可能にしたわけではありません。そして私たちは、必ずや主の御許に還り行く境遇なのです。(クルアーン43:13-14)

● 旅行のドゥアー(祈願):

イブン・ウマル(彼らにアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は旅立ちの際ラクダの背に乗ると、アッラーの偉大さを3回讃えました(「アッラーフ・アクバル」という言葉)。それからこう言いました:“これを私たちに従属せしめられたお方の崇高さを讃えます。私たちがこのようなことを可能にしたわけではありません。そして私たちは、必ずや主の御許に還り行く境遇なのです。(クルアーン43:13-14)アッラーよ、私たちはこの私たちの旅において、善行とタクワー(アッラーのお怒りと懲罰を招くような事柄から身を慎むこと)を請います。そしてあなたのご満悦される行いを求めます。アッラーよ、私たちのこの旅をたやす,容易くして下さい。そしてその距離を縮めて下さい。アッラーよ、あなたは旅の道連れであり、(残した)家族の後見人です。アッラーよ、私はあなたに旅の困難と風景がもたらすけんたい,倦怠さから、そして財産と家族に万一のことがないよう、あなたにご加護を求めます。”」(ムスリムの伝承 )

● 2名の者が旅で行うこと:

アブー・ムーサー(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「預言者(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は彼とムアーズをイエメンに派遣し、こう言いました:“(当地の人々に対して、物事を)たやす,容易くし、難しくしてはならない。そしてよき知らせを伝え、(彼らを)背かせてはならない。そして互いに協調し合い、相反してはならない。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )
 
● 3名以上で旅行する時には、誰かをリーダーにすること:

アブー・サイード・アル=フドゥリー(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:“3人で旅立つ時には、誰かをリーダーとせよ。”」(アブー・ダーウードの伝承 )
 
● 路上での礼儀作法の遵守:

アブー・サイード・アル=フドゥリー(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:“公道に座りこむのではない。”それで(教友たちは)言いました:“アッラーの使徒よ、話し合うための場所が他にないのです。”すると(預言者は)言いました:“やむを得ずそうするなら、公道での義務を守るのだ。”(教友たちは)言いました:“公道の義務とは何ですか、アッラーの使徒よ。”(預言者は)言いました:“視線を(様々な問題を及ぼす物事から)下げること、害悪の阻止、挨拶を返すこと、そしてよき言葉である。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

● 旅行者が坂を上ったり降りたりする時に言うこと:

1-ジャービル(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「我々は高い場所へ行くとアッラーの偉大さを讃え、低い場所へ行くときはアッラーの崇高さと完全性を讃えたものでした 。」(アル=ブハーリーの伝承 )

2-イブン・ウマル(彼らにアッラーのご満悦あれ)は言いました:「・・・そして預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)とその軍は、坂を上る時にはアッラーの偉大さを讃え、下りる時にはアッラーの崇高さと完全性を讃えたものでした。」(アブー・ダーウードの伝承 )

● 旅行中不義を行った者の地域を通った時に行うこと:

アブドッラー・ブン・ウマル(彼らにアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)がヒジュル の地域をお通りになった時、言いました:“泣く気ならない限り、自分自身に不正を犯した哀れな者達のいたところに入ってはならない。そうすれば、彼らに降りかかった災いが、あなた達に降りかかることはない。”」その後、ラクダの鞍に乗っている間、彼は顔を薄布で覆いました。(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

● 夜、旅行中の睡眠のとり方:

アブー・カターダ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は旅路で夜遅く宿営をした時には、体の右側を下にして横たわったものでした。そして朝も近付く頃に宿営する時には片肘をつき、その手で頭を支えて(横になって)いたものでした。」(ムスリムの伝承 )

● 旅先できりゅう,寄留する時に言うこと:

ハウラ・ビント・ハキーム・アッ=スラミーヤ(彼女にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「彼女はアッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)がこのように言うのを聞きました:“(旅先で)どこかに一時寄留する者で、『アッラーの完全無欠なる御言葉に、かれの創造された悪からの庇護を乞います。』という者は、その場から(再び)旅立つ時まで、何も彼を害することはないであろう。”」(ムスリムの伝承 )
 
● 必要に迫られた場合、相手を待つこと

アーイシャ(彼女にアッラーからのご満悦あれ)は言いました:「ある旅行で私たちはアッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)と共に出かけました。バイダー、もしくはザートル=ジャイシュと呼ばれる場所に着いた時、私の首飾りが壊れどこかに落ちてしまいました。 アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)はそれを捜すため、他の人々と一緒にここに滞留されました。そして、その地域には水場がありませんでした。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

● 旅行者が明け方を迎えた時に言うこと:

アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は旅路で明け方を迎えた時、こう言ったものでした:“(天使たちよ)私たちへの素晴らしい恩寵に対する私たちのアッラーへの讃美を、アッラーに伝えて下さい。主よ、私たちの同伴者よ、私たちに恩恵を降り注ぎ、そして業火からのご加護をお与え下さい。”」(ムスリムの伝承 )

● 乗り物用の家畜がつまずいた時に言うこと:

アブー・アル=マリーフは言いました:「ある男が言いました:私はアッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)の後方にいました。すると、彼が騎乗していた家畜がつまず,躓きました。そして私は言いました:“悪魔よ滅びてしまえ。”すると、(預言者は)言いました:“悪魔よ滅びてしまえ、などと言ってはならない。もしあなたがそのように言うと、彼は家のように巨大化するだろう。そして(悪魔)はこう言うだろう:『我が力によって。』なので、こう言いなさい:”『ビスミッラー(アッラーの御名において)。』実にあなたがもしこのように言えば、悪魔は蠅のように小さくなるのだ。“」(アブー・ダーウードとアフマドの伝承 )
 
● 訪れようとする町や村が見えた時に言うこと:

スハイブ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は(旅の途中で)村が視界に入り、そこに立ち寄りたいと思った時には、常々こう言ったものです:“アッラーよ、7層の天とその影が覆うものの主よ、7層の大地とそれが運ぶものの主よ、多くのシャイターンとそれらが迷わせたものの主よ、風とそれが吹き飛ばしたものの主よ、私はこの村の良きものとその住人の良きものを、そしてそこにある良きものを求めます。また私はあなたにその悪とその住人の悪とそこにある悪からのご加護を求めます。”」(アン=ナサーイーとアッ=タハーウィーの伝承 )

● ハッジ(大巡礼)やその他の旅からの帰路で言うこと:

イブン・ウマル(彼らにアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は戦役やハッジ(大巡礼)、ウムラ(小巡礼)などから帰って来る時には、大地の隆起した場所で“アッラーフ・アクバル(アッラーは偉大なり)”と3回言い、それからこう言いました:“かれの他にいかなる共同者も存在しない、唯一のアッラーの他に真に崇拝すべきものはなし。かれにこそ全ての主権と全ての讃美は属し、かれは全てのことがお出来になられます。(私たちは)帰り、悔悟し、(アッラーのみを)崇拝し、(かれのみに)サジダ(伏礼)し、私たちの主のみを讃美します。アッラーはかれのお約束を果たされ、そのしもべを援助なされ、そしてかれのみのお力で部族連合を敗走させられました。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

● 旅行者が用事を済ませた時にすること:

アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)によれば、アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:「旅とは懲罰の一部である。(それは)あなた方の睡眠や飲食を妨げる。ゆえに(旅の)用事を済ませたら、急いで家族のもとに戻るがよい。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

● 旅から帰る頃合:

1-カアブ・ブン・マーリク(彼にアッラーのご満悦あれ)によれば、預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は決まって昼間の早い内に、旅行から帰って来たものでした。そして帰ってきて初めに行くのはモスクであり、そこで2ラクアのサラー(礼拝)をし、それからそこに座りました。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

2-アナス(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は(旅路から帰って来たら)、夜遅く不意に家族のもとを訪れたりはしませんでした。彼は朝か夕に(彼らのもとに)帰ったものです。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

● 夜に(旅から)戻って来る者は、家族にそれを告げておくことがスンナ であること:

ジャビール・ブン・アブドッラー(彼らにアッラーのご満悦あれ)によれば、預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:「夜に(旅路から)帰って来たら、夫と離れ離れになっていた者(妻のこと)が陰毛を処理し、その乱れた髪が整えられるまで家族のもとに行くのではない。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

5-夢の礼儀作法

● 夢の種類について

アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は言いました:“終末の時が近付くときムスリムが見る夢は嘘ではなくなってくるだろう。あなた達の中で夢において最も信頼のおける者は言葉においても最も信頼のおける者である。ムスリムの見る夢は預言者性の45分の1に相当する。夢には3種類ある。それはアッラーからの吉報を知らせる正夢と、悪魔からの悲報の悪夢と、個人的に起こった夢である。もし、あなた達のうち誰か嫌な夢を見たら、礼拝しなさい。そして、人々にそのことについて話してはならない。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

● 夢の中で好ましいもの、あるいは厭わしいものを見た時の言動:

1-アブー・カターダ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「私は預言者(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)が、こう言うのを聞きました:“よい夢はアッラーからのものである。ゆえに好ましい夢を見たならば、好きな者以外にはそのことは語ってはならない。そしてもし悪夢を見たならば、アッラーにその悪とシャイターン(悪魔)からの悪に対するご加護を乞い、3回唾を吹くのだ。そしてそれを誰にも話してはならない。そうすればその悪夢は彼を害することはないであろう。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

2-アブー・サイード・アル=フドゥリー(彼にアッラーのご満悦あれ)は、アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)がこのように言うのを聞きました:「よい夢を見たならば、それはアッラーからのものなのである。ゆえにそれに関してアッラーを讃えるがよい。」(アル=ブハーリーの伝承 )

3-ジャービル(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:“悪夢を見たら、左側に向かって唾を3回吹くのだ。そしてアッラーに、シャイターンに対するご加護を3回乞うがよい。そしてそれまでとは逆向きに寝よ。”」(ムスリムの伝承 )
また別の伝承にはこうあります:「悪夢を見たら、起きて礼拝するのだ 。」(ムスリムの伝承 )

● 正夢を喜ぶこと:

1-アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は言いました:“(私という)最後の預言者性の後には、アル=ムバッシラート(喜ばしい知らせを運んでくるもの)しか(物事の霊妙さや謎や未知の事を知らせてくれるものは)ない。(教友たちは)言いました:「アル=ムバッシラートとは何ですか?」(アッラーの使徒は)言いました:「正夢のことだ。」”」(アル=ブハーリーの伝承 )
 
2-アナス・ブン・マーリク(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:“正しき者の見るよき夢は、預言者性の46分の1に相当する。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )
 
● 眠りにおける預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)の夢:

アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:“私の名(ムハンマド)をもって(あなた方の子らを)名付けてもよいが、私のクンヤ でもって呼んではならない 。そして夢で私を見た者は、実に私を見たのである。シャイターンは私の姿に変身することが出来ないのだから。そして私に対して故意に嘘をついた者は、地獄の業火に住まわせるがよい。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

● 夢の話について嘘をつくことの禁止:

1-イブン・アッバース(彼らにアッラーのご満悦あれ)は言いました:「預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:“見てもない夢を見たと主張する者は、できるはずもない大麦の粒と粒を結ぶことを課せられる。また、人々が(聞かれては)嫌がり、あるいはそれを聞く者から逃げ出す話に聞き耳を立てる者は、審判の日に彼の耳に溶解の鉛を注がれるだろう。そして、絵を描く者は罰せられる。彼は、できもしないその絵に命を吹き込むことを課せられる。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

2-イブン・ウマル(彼らにアッラーのご満悦あれ)は言いました:「預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:“もっとも最悪な嘘とは、見てもいない夢を見たと主張することだ。”」(アル=ブハーリーの伝承 )

● 夢の中でシャイターン(悪魔)がいたずらすることを人に話さないこと:

ジャービル・ブン・アブドッラー(彼らにアッラーのご満悦あれ)は言いました:「ある男が預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)のもとに来て、言いました:“アッラーの使徒よ、夢で自分の首が切られるのを見たのですが。”すると預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は笑い、こう言いました:“あなた方の夢の中でシャイターンがいたずらをしたら、そのことを人に話すのではない。”」(ムスリムの伝承 )

6-許可を請うことの礼儀作法


● 他人の家に入る時の礼儀作法:

1-至高なるアッラーは仰せられました:信仰する者たちよ、その許しを請い、家人に挨拶することなしには他人の家に入るのではない。それがあなた方にとってよりよいことなのだ。あなた方が(このことに)教示を受けるのならば(きっとそうするであろうに)。(クルアーン24:27)

2-至高なるアッラーは仰せられました:あなた方が他の家に入ったならば、あなた方の同胞にアッラーからの、祝福に溢れた美しい挨拶をするのだ。(クルアーン24:61)
 
● 他人の家に入る時の許可の請い方:

1-アブー・ムーサー・アル=アシュアリー(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は言いました:“(呼ぶなりドアをノックするなりして)3回許可を請うても返事がなかったら、立ち去るのだ。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

2-リブイー(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「バヌー・アーミルの民出身の男が、私たちにこのように語りました:彼は預言者(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)が在宅中に、彼に(家に入る)許可を請い、こう言いました:“入ってもいいですか?”すると預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は使用人にこう言いました:“彼のところに行って、許可の請い方を教えよ。彼にこう言ってやるのだ:「アッ=サラーム・アライクム(あなた方に平安あれ)。入ってもいいですか?」と言いなさい、と。”それで男はそれを聞き、言いました:“アッ=サラーム・アライクム。入ってもいいですか?”預言者は彼に許可を与え、こうして彼は入りました。」(アフマドとアブー・ダーウードの伝承 )

● 他人の家に入る許可を請う時に立つ位置:

アブドッラー・ブン・ブスル(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は人々の家を訪れる時、扉の真ん前には立たず、その右側か左側の柱のもとに立ちました。そしてこう言ったものです:“アッ=サラーム・アライクム(あなた方に平安あれ)。アッ=サラーム・アライクム。”」(アフマドとアブー・ダーウードの伝承 )
 
● 名前を尋ねる時の許可の請い方

1-ウンム・ハーニー・ビント・アブー・ターリブ(彼女にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「私はマッカ開城の年、アッラーのみ使い(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)のもとへ行きました。そこで、彼はグスルをされ、娘のファーティマが(布で)彼の周りを覆っていました。私は彼に挨拶をしました。そして、彼は“あなたはどなたですか。”と言われたので、ウンム・ハーニー・ビント・アブー・ターリブですと伝えました。すると、“ようこそいらっしゃいました。ウンム・ハーニーよ。”と答えられました。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

2-ジャービル・ブン・アブドッラー(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「私は、アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)に入室の許可を求めました。すると、その御方は“あなたはどなたですか。”と尋ねたため、“私です。”と答えました。すると彼は、“私です。私です(とは何か)。”と答えられ、まるでその答えをお嫌いになられているようでした。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

● 奴隷や年少者の許可の請い方:

至高なるアッラーは仰せられました:信仰する者たちよ。あなた方の右手が所有する者たち(奴隷のこと)、そして成熟していない者たちには(昼夜通して)3度(の時間帯に)許可を請わせるのだ:(それはつまり)ファジュル(夜明け前の礼拝)の前と、あなた方が脱衣しているかもしれない正午(の休息時間)、そしてイシャー(夜の礼拝)の後である。(これらは)あなた方のための(肌が露わになる)3つの私的な時間(である)。これらの時間帯の他は、あなた方も彼らも(許可を請うことなく)自由に互いに行き来しても罪はない。彼らはあなた方のもとを頻繁に廻る者たちであり、あなた方は互いに行き交う。このようにアッラーは、あなた方にみしるしを明らかにされる。アッラーは全てをご存知で、英知に溢れたお方である。(クルアーン24:58)

● 許可なしには第3者をさしおいて内緒話しないこと:

イブン・マスウード(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は言いました:“あなた方が3人でいる時、1人をそっちのけにして2人だけで内緒話をしてはならない。それは彼を悲しませるであろうから。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )  
 
● 許可なしには他人の家を覗かないこと:

アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)によれば、アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:「誰かが許可もなくあなたの家を覗き、それであなたが彼めがけて石を投げつけ、それが彼の眼を失明させたとしても、あなたに罪はない。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

● 退出の許可の願い方:

至高なるアッラーは仰せられました:まことに信仰者たちとは、アッラーと彼の使徒を(心から)信じ、ある要件で(人びとが)集まり使徒と一緒にいる時、彼に許可を得るまでは立ち去らなかった者たちである。本当に何につけあなたに許しを求める者こそは、アッラーとその使徒を信じる者である。彼らが自分の用事で、あなたに許しを求める時には、彼らのうちで望む者は許し、彼らのためにアッラーの御赦しを請え。本当にアッラーはよく赦した給う慈悲深い御方。(クルアーン24:62)

7-くしゃみの礼儀作法


● くしゃみをした者に、よい祈願をしてやること:

1-アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました;「預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:“アッラーはくしゃみをする者を愛でられ、あくびする者を厭われる。ゆえに(ムスリムが)くしゃみをしてアッラーを讃えたら、それを聞いたムスリムは彼によい祈願 をする義務がある。一方、あくびはシャイターン(悪魔)からのものであるから、出来る限り抑えるようにせよ。彼が(大口を開けてあくびしつつ)“はぁー”などと言えば、シャイターンは彼を嘲笑するのだ。“」(アル=ブハーリーの伝承 )

2-アブー・フライラ(彼にアッラーからのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:“ムスリムが他のムスリムに対して有する権利には6つがある。すると、(ある者から)言われました:“それらは何ですか。”アッラーの使徒は言いました:“あなたが彼(他のムスリム)に会ったら、挨拶をすること。もし彼が食事に招待したら、それに答えること。そして、もし彼があなたの助言を求めたら、これに応えること。また、もし彼がくしゃみをしたら、彼は『アルハムドリッラー(アッラーにこそ全ての賞賛はあれ)』と言い、あなたは『ヤルハムカッラー(アッラーがあなたを慈しまれますよう)』と言うこと。彼が病気になったら見舞い、そしてもし彼が亡くなったら、彼の葬儀に参列することである。”」(ムスリムの伝承 )

● くしゃみをした者への祈願の仕方:

1-アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:“あなた方がくしゃみしたら、『アルハムドゥリッラー(アッラーにこそ全ての賞賛はあれ)』と言うのだ。そしてその兄弟、あるいは同士は(くしゃみをした)その者にこう言いなさい:『ヤルハムカッラー(アッラーがあなたを慈しまれますよう)』そして(くしゃみした者は)『ヤルハムカッラー』と言われたら、こう言うのだ:『ヤハディークムッラーフ・ワ・ユスリフ・バーラクム(アッラーがあなた方を導かれ、そしてあなた方の状態を正されますように)』”」(アル=ブハーリーの伝承 )

● ムスリムでない者がくしゃみをし、アッラーを讃えた時に言うこと:

アブー・ムーサー・アル=アシュアリー(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「あるユダヤ教徒が預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)に“ヤルハムクムッラー(アッラーがあなたがたを慈しまれますよう)”と言われることを期待して、彼の近くでくしゃみをしました。すると(預言者は)彼に言いました:“ヤハディークムッラーフ・ワ・ユスリフ・バーラクム(アッラーがあなた方を導かれ、そしてあなた方の状態を正されますよう)”」(アブー・ダーウードとアッ=ティルミズィーの伝承 )

● くしゃみの際の動作:

アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)はくしゃみをする時には手か衣服(の端)で口を押さえ、その音を小さくするか、あるいは抑えたものでした。」(アブー・ダーウードとアッ=ティルミズィーの伝承 )

● くしゃみをした者には、いつ祈願してやるのか:

アナス・ブン・マーリク(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)の近くで2人の男がくしゃみをしましたが、彼はその片方には祈願してやり、もう片方にはそうしませんでした。そのことについて言及されると、彼は言いました:“この男は(くしゃみをして)アッラーを讃えたが、この男はそうしなかったのだ。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

● くしゃみをした者には何回祈願すべきか:

1-サラマ・ブン・アル=アクワァ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「私は預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)が私の近くでくしゃみした男に“ヤルハムカッラー(アッラーがあなたを慈しまれますよう)”と言うのを聞きました。しかし彼が再びくしゃみすると、アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は私にこう言いました:“彼は風邪を引いている。”」(ムスリムの伝承 )

2-サラマ・ブン・アル=アクワァ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は言いました:“くしゃみをした者は3回まで『ヤルハムカッラー(アッラーがあなたを慈しまれますよう)』と祈願されるが、それ以上は風邪によるものなのである(から、そういうべきではない)。”」(イブン・マージャの伝承 )


● あくびの際にすること:

1-アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:“あくびはシャイターン(悪魔)からのものである。ゆえにあくびをしたい時は、出来るだけ抑えるようにせよ。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

2-アブー・サイード・アル=フドゥリー(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:“あくびする時は、手で口を押さえよ。シャイターンが(そこから)入ってくるのだから。”」(ムスリムの伝承 )

8-病人のお見舞いに関する礼儀作法

● 病人を見舞うことの徳:

サウバーン(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:“病人を見舞う者は、(そこから帰るまで)ずっと天国の果樹園の中にある。”」(ムスリムの伝承 )

● 病人を見舞うことの法的見解:

アル=バラーゥ・ブン・アーズィブ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は私たちに7つ(のこと)を命じ、また7つ(のこと)を禁じられました:彼は私たちに葬儀に参列することと、病人を見舞うこと、招待を受け入れること、不正を被っている者を助けること、誓約を遵守すること、挨拶を返すこと、くしゃみをした者に“ヤルハムカッラー(アッラーがあなたを慈しまれるよう)”と言うことを命じました。そして銀の器と金の指輪、絹、錦、絹で縫われた衣服、きんらん,金襴を禁じました。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

● 試練に遭っている者を目にした時に言うこと:

イブン・ウマル(彼らにアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:“試練に遭っている者を見て『あなたに降りかかった災難から私を守って下さった、そして私をかれが創造された(他の)多くのものより尊んで下さったアッラーに称えあれ」と言う者は、彼が被っているその試練から免れるであろう。”」(アッ=タバラーニーの伝承 )

● お見舞いに訪問した者が座る位置:

1-アナス(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「ユダヤ教徒の小間使いの少年が1人、預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)に仕えていましたが、(ある時)彼は病に冒されました。預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は彼を見舞い、彼の頭の近くに腰を下すと、こう言いました:“イスラームを受け入れよ。”すると少年は、そこに居合わせていた父親の方を伺いました。(父親は)彼に言いました:“アブー・アル=カースィム(預言者ムハンマドのこと)に従え。”そして(少年は)イスラームを受け入れました。預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)はそこを後にすると、こう言いました:“彼を地獄から救われたアッラーにこそ、全ての賞賛あれ。”」(アル=ブハーリーの伝承 )

2-イブン・アッバース(彼らにアッラーのご満悦あれ)は言いました:「預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は病人を見舞った際には、(横たわっている)その者の頭の辺りに座ったものでした。」(アル=ブハーリーの伝承 )

● お見舞いの際に病人のために祈る言葉:

1-イブン・アッバース(彼らにアッラーのご満悦あれ)は言いました:「預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:“まだ息を引き取っていない病人を見舞い、彼のもとで:『この上なく偉大なアッラー、偉大な玉座の主に、あなたを癒して下さいますようお願いします』と7回唱えるならば、アッラーが彼をその病から癒して下さらないことはない。”」(アブー・ダーウードとアッ=ティルミズィーの伝承 )
 
2-アーイシャ(彼女にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は私達の誰かが病気になると、右手で病人をさすられました。そしてこう言いました:“人々の主よ、不幸を追い遣って下さい。病人を癒やして下さい。あなたこそが真実の治療者、あなたからの治癒こそが真実であり完全なものでございます。”時に、アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)が病気になられ大変苦しんでいた時、私はその御方がなさっていたようにするため、手を取りました。するとその御方は自分の手を私の手から引き離されました。そしてこう言いました:“アッラー、私をお許し下さい。願わくば、私を至高なる御方と共にいられるようお計い下さい。”私はずっとその御方を見守っておりましたが、そこでその御方は息を引き取られました。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

3-イブン・アッバース(彼らにアッラーのご満悦あれ)は言いました:――中略――「そして預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は病人を見舞う時には、こう言いました:“大きな問題ではない。アッラーがお望みであるなら、(あなたの罪という穢れがこの病によって)清められるように 。”」(アル=ブハーリーの伝承 )

● 災いの恐れがなければ、女性が男性を見舞うこと:

アーイシャ(彼女にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)がマディーナ入りした時、アブー・バクルとビラール(彼らにアッラーのご満悦あれ)は熱病に冒されました。それで私は彼らのところへ行き、言いました:“お父さん、具合はいかがですか。ビラール、具合はいかがですか。”――中略――そしてアッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)のもとに来た時、私はそのことについて話しました。すると(アッラーの使徒は)言いました:“アッラーよ、私たちのマディーナへの愛慕の念を、マッカに対する私たちの愛慕の念かそれ以上に大きなものとして下さい。アッラーよ、マディーナを正し、私たちのムッド とサーア に祝福をお与え下さい。そしてマディーナの熱病を、アル=ジュフファ まで追いやって下さい。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

● ノンムスリムを見舞うこと:

アナス(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「ユダヤ教徒の小間使いの少年が1人、預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)に仕えていましたが、(ある時)彼は病に冒されました。預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は彼を見舞い、彼の頭の近くに腰を下すと、こう言いました:“イスラームを受け入れよ。”すると少年は、そこに居合わせていた父親の方を伺いました。(父親は)彼に言いました:“アブー・アル=カースィム(の言うこと)に従え。”そして(少年は)イスラームを受け入れました。預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)はそこを後にすると、こう言いました:“彼を地獄から救われたアッラーにこそ、全ての賞賛あれ。”」(アル=ブハーリーの伝承 )

● 病人に息を吹きかけること:

アーイシャ(彼女にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は彼の死につながった病において、アル=ムアッウィザート を読んで自らに息を吹きかけていました。そして彼がそれすら出来ない位にこんぱい,困憊した時には、私が代わりにそれらを読んで(彼の両手に)息を吹き込み、そして彼の祝福深い手でもって(彼の体を)さすったのです。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )
 
● 病人にその益になることを教示すること:

1-ウスマーン・ブン・アビー・アル=アース・アッ=サカフィー(彼にアッラーのご満悦あれ)は、イスラーム改宗以降に始まった体の痛みを、アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)に訴えました。するとアッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:“体の傷みがある部分に手を置き、『ビスミッラー(アッラーの御名において)』と3回、そして『私が感じ、そして警戒する悪に対し、アッラーとそのご威力にご加護を願います』と7回言うのだ 。”」(ムスリムの伝承 )

2-イブン・アッバース(彼らにアッラーのご満悦あれ)は言いました:「預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:“治療(法)には3つある:吸玉放血法(カッピング)と蜂蜜を飲むこと、そして火によるしょうしゃく,焼灼(焼きごてによる治療)である。そして私は私のウンマ(共同体)に、焼灼を禁じる。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )
 
3-アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「彼はアッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)がこう言うのを聞きました:“黒種(ブラック・クミン)には、死以外の全ての病に対する癒しがある。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

● 病人や死者のもとで言うこと:

1-ウンム・サラマ(彼女にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は言いました:“病人、あるいは死者のもとを訪れた時には、よいこと を話すのだ。天使たちはあなた方の言うことに、「アーミーン(そうありますよう)」と言うのだから。”そしてアブー・サラマ(つまり伝承者であるウンム・サラマの夫)が亡くなった時、私は預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)のもとに赴き、言いました:“アッラーの使徒よ、アブー・サラマが亡くなりました。”すると預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は、こう言いました:“こう言うのだ:「アッラーよ、私と彼の罪をお赦し下さい。そして彼の後に、私に更なるよいものを引き継いでお与え下さい。」”こうしてアッラーは、私に彼(アブー・サラマ)よりもよいもの――預言者ムハンマド(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)――を(夫として)与えて下さったのです。」(ムスリムの伝承 )

2-ウンム・サラマ(彼女にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)がアブー・サラマのところにやって来ると、彼は眼を開けた状態で(息を引き取って)いたので、彼はその眼を閉じてやりました。・・・――中略――そして(アッラーの使徒は)こう言いました:“アッラーよ、アブー・サラマを赦したまえ。そして導かれた者たちの中において彼の位階を上げて下さい。彼の後に、私たち残された者たちの中に彼を継ぐ者をお与え下さい。万有の主よ、私たちと彼をお赦し下さい。彼のためにその墓を広げて、その中をお照らし下さい。”」(ムスリムの伝承 )
 
● 故人にキスをすること:

イブン・アッバースとアーイシャ(彼らにアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アブー・バクルは息を引き取った預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)に、キスをしました。」(アル=ブハーリーの伝承 )

● 病人に対する魔除け:

1-アブー・サイード・アル=フドリー(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)の教友たちの何人かが旅行をしていました。彼らがアラブのある部族の土地を通りかかり、その部族の人々に招き入れてもらおうと思いましたが、彼らはもてなしてはくれませんでした。そして、彼らは教友たちに言いました:“あなた方の中で(治療の)まじない のできる者はいますか。この地の長がサソリに刺され苦しんでいるのです。”そして、教友のある男が言いました:“わかりました。”そして、その長のもとへ行きクルアーンの開端章でまじないを行いました。そして、その長は元気になりました。そのまじないを行った教友は一群の羊を贈られましたが、受け取りを断りました。それから、彼は言いました:“このことをアッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)にお伝えするまでは(受け取れません)。”そして、彼はアッラーの使徒のもとへ行かれ、そのことを話しました。彼は言いました:“アッラーの使徒よ、アッラーに誓って、私は開端章をまじないとして用いただけです。”そして、アッラーの使徒は微笑んで言いました:“あなたはどうやってそれがまじないの言葉として使われることを知っていたのか。”それから、(続けて)言いました:”それらを受け取るのだ。そして、あなたたちの分け前とともに私の分も考慮するのだ 。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

2-アーイシャ(彼女にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は家族の者たちに魔除けを行い、その右手で(患部を)撫でてこう言ったものでした:“アッラーよ、人間の主よ。(彼から)災厄を取り除いて下さい。彼を癒して下さい。あなたこそが癒されるお方であり、あなたの癒しの他に癒しはありません。(彼を)いかなる病も残さないような癒しでもって(癒して下さい)。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

3-アーイシャ(彼女にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は魔除けの中で、こう言ったものでした:“アッラーの御名において。(これは)私たちの土地の土と、私たちの唾液です。私たちの主のお許しでもって、私たちの病人は癒されます。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

人差し指に唾を付け、それで土に触れ、このドゥアー(祈願)を唱えながらその付着物で患部を撫でます。

4-アブー・サイード(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「ジブリール(ガブリエル)が預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)のもとを訪れてこう言いました:“ムハンマドよ、辛いか?”(預言者は)言いました:“はい。”(ジブリールは)言いました:“アッラーの御名において。あなたを害する全てのものに対し、全ての悪に対し、あるいは妬み深いアイン に対し、あなたが守られることを願う。アッラーがあなたを癒して下さるよう。アッラーの御名において、あなたが守られることを願う。”」(ムスリムの伝承 )

● 国を疫病が襲った時に、ムスリムが言うこと:

ウサーマ・ブン・ザイド(彼らにアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は言いました:“疫病はイスラエルの民の一派、あるいはあなた方以前の者たちに送られた穢れである。ゆえにどこかでそれが発生したと耳にしたら、そこに赴くのではない。そしてあなた方がいる場所にそれが発生したら、そこから逃亡しようとして脱出するのではない。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

● 病人の様子を見に何度も訪れること:

アーイシャ(彼女にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「ハンダクの戦いでサアドが腕の正中静脈(真ん中を通る静脈)に傷を負いました。そして、アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は間近で見舞えるようにモスクの中に、テントを広げました。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

● 意識を失った者への対処

ジャービル(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「私は病に伏していました。そこへ、アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)とアブー・バクルが見舞いに訪れました。二人とも徒歩でした。(その時)私は気を失っていました。アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)はウドゥー をなされ、その残りの水を私にかけました。そして私は意識を取り戻しました。そしてアッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)に気づきました。そして私は言いました:“アッラーの使徒よ、私の財産はどのように処理したらよいでしょうか。”財産分与の啓示が下るまで彼は何もお答えになられませんでした。(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )」

● 許可なく嫌うものを病人へ与えることは好ましくない:
アーイシャ(彼女にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)がご病気の時、私たちは無理やりその御方の口に薬を注ぎ込みました。すると、彼は無理に口に注がぬようにと合図をされました。私たちは言いました:“病人へ無理やり薬を飲ませることは避けるべきことなのでしょう。”そして、彼は病状が悪化すると言いました:“あなた方は皆、(その行いの報いとして)無理やり薬を注ぎ込まれることになろう。しかし、アル=アッバースは別である。彼はその時あなた方と一緒ではなかった。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 ).

9-衣服の礼儀作法

● 衣服の徳:

1-衣服は人を美化し、体の恥部も覆います。崇高なるアッラーはこう仰せられました:アーダムの子ら(人類)よ、われら(アッラーのこと)はあなた方に、あなた方が(シャイターンの策略によって人類の祖アーダムとハウワーが露わにされたところの)恥部を覆うための衣服と着飾るための衣服を授けた。そしてタクワー という衣こそは最上のもの。これ(アッラーが人類に衣服を与えられたこと)こそは、彼らがそれによって教示を受けるであろうアッラーのみしるしの1つなのである。(クルアーン7:26)

2-それは寒暑などから身を守ってくれます。崇高なるアッラーは仰せられました:そして(アッラーは)あなた方のために、暑さをしのぐ衣服と寒さを防ぐ衣服を与えられた。(クルアーン16:81)

● 最良の衣服:

1-アナス・ブン・マーリク(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)の最もお気に入りの服は、アル=ヒバラでした。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )
アル=ヒバラとは、美しい装飾を施された綿、あるいはあま,亜麻製の衣服です 。

2-イブン・アッバース(彼らにアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:“白い衣服を着るのだ。それは最良の衣服であるから。そしてそれでもってあなた方の亡き人をくるむのだ。”」(アブー・ダーウードとイブン・マージャの伝承 )
 
3-ウンム・サラマ(彼女にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)の最もお気に入りの服は、長衣でした。」(アブー・ダーウードとアッ=ティルミズィーの伝承 )

● 男性及び女性にとっての腰布の着衣位置:

1-アブー・サイード・アル=フドゥリー(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:“ムスリムの腰布は、下肢の半分(の位置)までである。そしてそこからくるぶしまでの間であれば、何の気兼ねも間違いもない。だがくるぶしの下にまで達した部分は、地獄の業火の中にある。腰衣を傲慢に引きずって歩く者を、アッラーは見守らないであろう。”(アブー・ダーウードとイブン・マージャの伝承 )

2-イブン・ウマル(彼らにアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は言いました:“腰衣を傲慢に引きずって歩く者を、審判の日アッラーは見守らないであろう。”するとウンム・サラマ(彼女にアッラーのご満悦あれ)は言いました:“それでは女性は、衣の足元をどうすべきでしょうか?”(アッラーの使徒は)言いました:“(下肢の下半分の位置から)手の平1つ分だけ余分に伸ばしなさい。”(ウンム・サラマは)言いました:“それでは女性の足が露わになってしまいます。”(するとアッラーの使徒は)言いました:“それではせいぜい1腕尺分 まで伸ばしなさい。それ以上伸ばしてはならない。”」(アッ=ティルミズィーとアン=ナサーイーの伝承 )

● 男性へのイスバール に対する警告:

1-アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)によれば、預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:「くるぶしの下にかかる腰布の部分は、地獄の業火の中にある。」(アル=ブハーリーの伝承 )

2-アブー・ザッル(彼にアッラーのご満悦あれ)によれば、預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:「“(次に挙げる)3人は審判の日、アッラーから語りかけられることもなければ、ご慈悲をかけられることもなく、またその罪から清められることもない。そして彼らには痛ましい懲罰があるのだ。”アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)はそう3回繰り返しました。私は言いました:“(そのような者たちこそ)よきものを禁じられた損失者です。アッラーの使徒よ、一体それはどのような者のことですか?”(アッラーの使徒は)言いました:“イスバールをする者と、恩を着せたり自らの名声ゆえに施す者、そして偽りの誓いの言葉をもって商品を売る者である。”」(ムスリムの伝承 )

3-アブドッラー・ブン・ウマル(彼らにアッラーのご満悦あれ)によれば、預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:「イスバールは腰布と長衣、そしてターバンにある。それらを奢り高ぶって長くたらしている者は、審判の日にアッラーが見守って下さることはないであろう。」(アブー・ダーウードとアン=ナサーイーの伝承 )

● 禁じられた衣服と寝具:

1-ウマル・ブン・アル=ハッターブ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は言いました:“絹をまとってはならない。それを現世で身に付けた者は、来世でそれをまとうことはないのであるから。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

2-アル=バラーゥ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は私たちに、7つのことを命じられました:(それらはつまり)病人を見舞うこと、葬儀への参列、くしゃみをした者に“ヤルハムカッラー(アッラーがあなたを慈しまれますよう)”と言うこと(です)。そして私たちに絹や錦、絹で縫われた衣服、きんらん,金襴をまとうこと、また絹製の寝具を禁じられました。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

3-アーイシャ(彼女にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)が旅行から戻られ、私のところへいらっしゃいました。その時、私は壁のくぼみに画が描かれているカーテンをかけていました。そしてそれをアッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)がご覧になった時、それを引きちぎられた。そして言いました:“最後の審判の日に最も重い罪を受ける者はアッラーの創造したものをなぞり真似る者だ。”そして私たちはそのカーテンを1つまたは2つの枕にしました。」 (アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

4-フザイファ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は私たちに、金銀の器で飲食することと、絹や錦をまとうこと、そしてそれらの物の上に座ることを禁じられました。」(アル=ブハーリーの伝承 )

5-アーイシャ(彼女にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は十字架の書かれたものは彼が壊したもの以外、家に残されませんでした。」(アル=ブハーリーの伝承 )

6-アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は言いました:“私の時代にはまだ出現していない、2種類の地獄の民がある:牛の尾のような鞭を手に人々を殴る者たちと、体の一部を露わにするようないでたちをし 、自ら真理から遠のき、かつ他人をも迷わせるような女性たちである。彼女たちは(布や装飾品などで)頭を巨大なラクダのコブのように飾り立て盛り上げさせており、天国に入ることもなければ、その芳香に与ることもない。その芳香はそれなりの行程まで漂って来るにもかかわらずである。”」(ムスリムの伝承 )

7-アブドッラー・ブン・アムル・ブン・アル=アース(彼らにアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は、私が2枚組みのベに花で染めた衣服をまとっているのを見て、こう言いました:“その服は不信仰者のものであるから、着るのではない。”」(ムスリムの伝承 )

8-アブー・ムーサー・アル=アシュアリー(彼にアッラーのご満悦あれ)によれば、アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:「絹製の衣服と金は、私のウンマ(共同体)の男性に禁じられた。そして女性には許されたのである。」(アッ=ティルミズィーとアン=ナサーイーの伝承 )

9-ハーリドは言いました:「アル=ミクダーム・ブン・マアディーカリブはムアーウィヤを訪れました。そして彼に言いました:“私はあなたが誠実に答えてくれることを望みます。あなたはアッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)が猛獣の皮を着ることやそれに乗ること禁じられたことをご存知ですか。”そして(ムアーウィヤは)言いました:“はい。”」(アブー・ダーウードとアン=ナサーイーの伝承 )

10-イブン・ウマル(彼らにアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:“注目を集めるような目立つ服を現世で身にまとう者は、審判の日にアッラーは卑しい服を着せるだろう。そして、それは業火で焼かれるのだ。”」(アブー・ダーウードとイブン・マージャの伝承 )

● 禁じられた歩き方や服装:

1-至高なるアッラーは仰せられました:そして奢り高ぶって人々から頬を背けてはならず、地を高慢に歩いてはならない。アッラーはいかなるきょうまん,驕慢な自惚れ屋も愛でられないのだ。そして節度をもって歩み、声を低めよ。最も醜悪な声とは、ロバの鳴き声であるのだから。(クルアーン31:18,19)

2-至高なるアッラーは女性に対して、こう仰せられました:そして(女性の信仰者たちは)衣服の下の装飾品(の音)を(高らかに鳴らして)人に聞かせるために、足を打つようにして(歩いて)はならない。(クルアーン24:31)

3-アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は2種類の衣服の身だしなみを禁じました:(1つは)その恥部を隠す物も着けぬまま、1枚の布をまとって両足を胸元に抱え込むようにして座ること(いわゆる体操座り)。そして(もう1つは、穴のない)1枚の布で体のいかなる部分も外に出すことなく、すっぽり完全に覆ってしまうことです。」(アル=ブハーリーの伝承 )

4-アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:“ある男が2枚組みの衣をまとい、長髪を肩になびかせつつ自惚れながら歩いていると、アッラーが大地の中に彼を飲み込ませた。そして彼は審判の日が来るまで、そこでもがき転がり続けるのだ。”(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

5-イブン・アッバース(彼らにアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は女性を模倣する男性と、男性を模倣する女性を呪いました。」(アル=ブハーリーの伝承 )
 
6-イブン・ウマル(彼らにアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は言いました:“ある民と同様の出で立ちをする者は、彼らの仲間である。”」(アブー・ダーウードとアフマドの伝承 )

● 女性が衣服や装飾品で人目も露わに着飾らないこと:

1-至高なるアッラーは仰せられました:預言者よ、あなたの妻たちと娘たち、女性の信仰者たちに、彼女らが頭の先から外衣を羽織るように言うのだ。そうすれば彼女らは(奴隷ではなく自由民であると)認識されやすく、それで害を被ることもなくなるであろう。アッラーはお赦し深く、慈悲深いお方である。(クルアーン33:59)

2-至高なるアッラーは仰せられました:そして女性の信仰者たちに、視線を慎んで貞操を守り、(やむを得ず)現れる飾りの他は露わにしないように言うのだ。そして彼女らに、頭巾を胸の辺りまで垂らすようにさせよ。(クルアーン24:31)

3-至高なるアッラーは仰せられました:そして更年期に入り、結婚も望まないような高齢の女性は、装身具を露わにして着飾ることがなければ、(女性にとって禁じられた体の部位が露わにならない範囲で)外衣を着用せずとも罪はない。しかし(そのようにせず)慎ましくある方が、彼女たちにとってよいことである。アッラーは全知全聴のお方。(クルアーン24:60)
 
● 身を飾り、清潔さを尊ぶこと:

1-アブー・アル=アフワスがその父から伝えるところによれば、彼は言いました:「私(アブー・アル=アフワスの父)が粗末な服をまとって預言者(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)のもとに赴くと、彼はこう言いました:“あなたに財産はあるか?”私は言いました:“はい。”(預言者は)言いました:“それはいかなる財産か?”私は言いました:“アッラーは私に、ラクダや羊、馬や奴隷を授けられました。”(すると預言者は)言いました:“アッラーはあなたに財産をお恵みになられたのだから、アッラーの恩恵と栄誉の印があなた(の姿)に反映されるようにしなさい。”」(アブー・ダーウードとアン=ナサーイーの伝承 )
 
2-ジャービル・ブン・アブドッラー(彼らにアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は私たちのもとにやって来た時、髪をぼさぼさに乱している男を見てこう言いました:“この男は自分の髪をと,梳かす物さえ見つけることが出来なかったのか?”そして別の男が汚れた衣服を身に着けているのを見て、こう言いました:“この男は自分の衣服を洗う水さえ見つけることが出来なかったのか?”」(アブー・ダーウードとアン=ナサーイーの伝承 )

● 頭に着けるもの:

アムル・ブン・フライス(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「(今でも)私は、黒いターバンをまとってその両端を両肩の間に垂らしたアッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)が、説教壇の上に立っている姿を眼前に見ているかのようである。」(ムスリムの伝承 )

● 新しい衣服を着用する時に言うこと:

アブー・サイード・アル=フドゥリー(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は長衣であろうとターバンであろうと、新しい衣類を着用する時にはアッラーの御名を唱えました。そしてこう言いました:“アッラーよ、全ての讃美はあなたにこそあれ。あなたこそが私にこれを着せて下さいました。これにある良きものと、これによって得られる良きものを与えて下さいますように。そしてあなたにそこにある悪しきものと、それによって得られる悪しきものからのご加護を求めます 。”」アブー・ナドラはこう言っています:「預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)の教友たちは誰かが新しい衣服を着用した時には、彼にこう言ったものでした:“(その服が)着古され、その後更にアッラーが新しい物を与えて下さいますよう。 ”」(アブー・ダーウードとアッ=ティルミズィーの伝承 )

● 新しい衣服を着用した者が言われるドゥアー(祈願)の言葉:

ウンム・ハーリド・ビント・ハーリド(彼女にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)のもとに、黒い模様付きの絹織りの服を含む何枚かの衣類がもって来られました。(アッラーの使徒は人々に)言いました:“この絹織りの模様付きの服を、誰に着せたらよいと思うか?”すると人々は黙り込んでしまいました。(アッラーの使徒は)言いました:“ウンム・ハーリドを連れて来なさい。”そして私は預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)のもとに連れて来られ、彼の手でもってそれを着せられました 。そして彼は私に2回、こう言いました:“(その服が)ぼろになり、着古されるまであなたが長生きしますよう。”」(アル=ブハーリーの伝承 )
 
● 靴の履き方:

アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)によれば、アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:「靴を履く時は右足から始めるのだ。そして脱ぐ時は左足からにせよ。右足を先に履く方とし、後に脱ぐ方とするのだ。(アル=ブハーリーとムスリムの伝承)」  

● 男性の指輪はどの指に装着するか?:

1-アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)によれば、預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は金の指輪を禁じられました。(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

2-アナス(彼にアッラーのご満悦あれ)によれば、預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)の指輪は銀製で、その石の部分も銀でした。(アル=ブハーリーの伝承 )

3-アナス・ブン・マーリク(彼にアッラーのご満悦あれ)によれば、アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は右手に銀の指輪をしていました。それにはエチオピア産の石がは,嵌めてあり、彼はその石が手の平側に向くようにしていました。(ムスリムの伝承 )

4-アナス(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「預言者(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は指輪を作り、こう言いました:“私は指輪を作り、そこに(「アッラーの使徒ムハンマド」と)文字を刻んだ。ゆえにあなた方のいかなる者も、(同様の文字を)指輪に刻んではならない。”私(アナス)は(今でも眼前に)彼の小指の(指輪の)輝きを見ているかのようです。」(アル=ブハーリーの伝承 )

● 女性が装着してもよい金銀製品:

1-イブン・アッバース(彼らにアッラーのご満悦あれ)は言いました:「私は預言者(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)と共にイード に出席しました。預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は説教の前に礼拝すると、それから女性のところに赴きました。すると彼女たちは、(施しを集めるために預言者に随伴していた)ビラールの(広げられた)衣の中に、大小の指輪を投げ入れ始めました。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )
 
2-アーイシャ(彼らにアッラーのご満悦あれ)によれば、彼女はアスマーゥから首飾りを借りて、それを紛失してしまいました。それでアッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は1人の男を(その捜索のため)使いに出し、彼はそれを見つけました。そして礼拝の時間が来ましたが、彼らは水を持ち合わせていなかったので、(ウドゥー することなしにそのまま)礼拝しました。その後彼らはそのことをアッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)に訴えましたが、こうしてアッラーはアッ=タヤンムムの節 を啓示されたのでした。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )

● 衣服や寝具を慎ましくすること:

1-アブー・ブルダ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アーイシャは粗い生地の上衣と腰巻用の布を取り出し、私たちにそれを見せると、こう言いました:“預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)の魂が(現世を離れて)旅立った時、彼はこれら(の衣服)をまとっていたのです。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )
 
2-アーイシャ(彼女にアッラーのご満悦あれ)によれば、アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)が身を横たえるベッドは、木の繊維が詰められたなめし革製のものでした。(ムスリムの伝承 )

 

 

 

イスラーム概論 第2章 【よき品格】より

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本について

著者 :

Muhammad Bin Ibrahim Al-Tuwajre

出版社 :

www.islamhouse.com

カテゴリー :

Jurisprudence